Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

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中編「永久と瞬間の姫君」第一章

お待たせしております、中編の第一章です。

なんとか週末中にアップできてよかったですよ。

しかし日曜日って週末といえるのでしょうか……生活習慣によって日曜から週が始まる人と、月曜から始まる人が分かれそうです。

それはともかく、本編は続きからスタートです。どうぞっ!


Ⅰ 幕開けは紅き館にて

 そこには一面の銀世界が広がっていた。
 障害物も何もない、本当にだだっ広い平地。そこが一面雪に覆われている。
 雪原の下にあるであろう湖は、表面を氷に閉ざされてから既にふた月は経過している。
 そんな、如月のある日のこと。
 雪の幻想郷を見下ろす一人の少女がいた。
 その髪は雪のように白銀で、肌は霜のように純白だった。それらは雪景色に完全に溶け込み、傍からは紺の衣装だけが浮かんでいるようにも見える。
「…………」
 白い少女は何も言わず、ただ黙って雪景色を眺めている。
 時々、少女の吐く息が蒸気となって現れる。それ以外は、まるで時が止まっているようだった。
 しかし、どこからか静寂を打ち破る声が聞こえてくる。
 その声は、少女の名を繰り返し呼んでいた。
 もう、行かなければ。



「咲夜ー! 出て来なさーい!」
 霧の湖の畔に佇む紅い屋敷、紅魔館。そこでは吸血鬼の姉妹とその他の妖怪などが暮らしていた。
 何故妖怪“など”という表現をしたかと言えば、ここにはただ一人、妖怪でない種族「人間」が住んでいるからだ。
 そして、先ほどから館の主レミリア・スカーレットの探している人物こそが、唯一の人間十六夜咲夜その人なのである。
「……ったく、どこ行ったのかしら」
 不満げな表情で腰に手を当てるレミリア。身の丈五尺も無さそうな幼い容姿だが、これでも立派な吸血鬼。怒らせると手が付けられなくなることは、紅魔館のみならずこの幻想郷の常識となっていた。
 勿論呼ばれている十六夜咲夜にとっても、それは周知の事実である。しばらくすると、長い廊下の向こうからパタパタと足音が聞こえ、メイド装飾に身を包んだ少女が姿を現した。
 年の頃は十代後半。白銀の短髪に純白の肌、青藍の瞳が特徴的なメイド長である。足元こそ忙しそうだがその表情はとても涼しげだ。
「お待たせしました」
「遅いっ!」
 一括するレミリア。
「私が呼んだらすぐ来ないと、使用人失格ね」
「申し訳ありません」
 謝罪こそするが、どうやら悪いとは思ってないようだ。
 咲夜は時間を操る程度の能力を持っており、その気になれば主人の声が聞こえた瞬間に時間を止めることで、「呼んだ直後に参上」というなかなか格好良いパフォーマンスをすることができる。
 しかしそれをしないのはレミリア曰く「急に現れると心臓に悪い」とのことで、噛み砕くと「自分より速く移動できるのが癪」だからだ。
「それで、ご用件は何でしょう」
 改めて問う咲夜に、
「暇よ。何か面白いものを用意して頂戴」
 いつものように返すレミリアであった。



 咲夜にできる暇つぶしと言えば、専ら決まっている。
「はい、それではいつものようにマジックショーをご覧いただきましょう」
「…………」
 ソファに座って頬杖を突くレミリアの表情は、喜んでいるのか呆れているのかわからなかった。
 今まで幾度となく咲夜のマジックを見せられてきたが、すべてネタ(時間操作)がわかっているので今一つ面白みに欠けるものがある。
 しかし、仕掛けが解っていても帽子から鳩が出てきたりハンカチから花が出てくるのは見ていて飽きない。つまりレミリアの微妙すぎる表情は、どちらかというと期待によるものなのだ。
 それに対して、
「まってましたー」
 パチパチと手を叩くのは、レミリアの妹であるフランドール・スカーレット。勝手に騒いでくれる人材がいた方が観客としてもマジシャンとしてもやりやすいので呼んだのである。他意はない。
「それではご覧いただきましょう」
 咲夜が合図を送ると部屋の扉が開いた。そこには台車の上に乗った大きな長細い箱と、その箱の両端から頭と足だけ出した紅魔館の門番、紅美鈴がいた。
 もうこれだけで今後数分間にわたって行われる動作を把握できる人は多いだろうが、どうやらこの吸血鬼姉妹には初見のようだった。レミリアがぴくりと眉を吊り上げる。 
 箱の脇に控えていた図書室の司書が台車を咲夜の手前まで移動させる。
 咲夜は慣れた手つきで台車の下から薄い鉄板を取り出し、それを姉妹の前に出して確認させる。
 レミリアが強度を確かめるべく鉄板の端をつまむと、ベコンッ! という音とともに容易く歪んでしまった。
「どうやら本物のようね」
 何事も無かったかのように告げるレミリア。この辺が人間の里で流行っている手品との相違点である。
 ちなみにフランドールには手品の道具に触る権利は与えられなかった。以前シルクハットから飛び出した白鳩を彼女に手渡したら、豪快な効果音とともに爆散させてしまったからだ。平和の使者が悪魔により打ち砕かれた瞬間であった。
 一応フランドールは遠距離からでも対象を爆発させられるが、そんな悪戯をすれば姉から大目玉を喰らってしまうし、今日に限って言えば貴重な門番を犠牲にしてしまう。
 咲夜は鉄板の凹んだ部位を気にすることもなく、美鈴が収められている箱の上から挿しこんでいく。本来ここで美鈴は痛そうな演技をするべきなのだが、この姉妹は美鈴が本当に死にそうになっていることろを何度も目撃しているのでそれは無駄な行為である。故に美鈴は真顔で腹の辺りに視線を送っている。
 ちなみに先んじて種明かしをしておくと、この箱には実はもう一人の人物が入っている。箱は中心で仕切られており、上半身には美鈴が、下半身には別の人物が入り、各々箱に隠されている部分は折り曲げて鉄板に当たらないようにするのだ。
 このマジックは上半身役よりむしろ下半身役の方が大変で、今回その役目に指名されたのは、
「…………」
 箱の中で着実に疲労を溜めている紅魔館の知識人パチュリー・ノーレッジなのだった。
「はい、これで二つに分かれました」
 鉄板を完全に挿しこみ、淡々と告げる咲夜。レミリアは何も言わずじっと箱を見つめ、フランドールは「ふわぁ……」と目を輝かせている。斬られたことになっている美鈴に同情する者は誰もいなかった。
 レミリアから見れば、この段階ではまだ美鈴が斬られていないという可能性が最も大きい。挿しこむ直前に咲夜が時間を止め、何か細工をしたのかもしれない。
 しかし、挿しこまれた鉄板から少しずれたところにもう一枚同じ鉄板が挿され、さらに二枚の鉄板の隙間を、
「最後はお嬢様に切断していただきます」
 と咲夜が要求したときには、このマジックがいつもと違うと思わざるを得なかった。
「私が斬るの? 別に構やしないけど、そいつ死んじゃうよ」
「じゃあ構ってくださいよ」
 抗議する美鈴だが、そこに反応する者はいなかった。既に二度も斬られたはずの者が喋っていること自体おかしいのだ。死人に口なし。
「ささ、スパッと」
「ふーん……まいっか。神槍『スピア・ザ・グングニル』!」
 レミリアが唱え、その手に紅く光る槍が握られる。そしてそれを躊躇無く箱に突き刺した。
 バキッと木材が砕ける音がし、少し槍をスライドすると簡単に両断される。箱は中心の支えを失ったことでVの字を描くように崩れ落ちた。
「おおっ」
 と反応したのはフランドールである。特に種や仕掛けについて深く考えない彼女には、本当に美鈴がグングニルの餌食になったかと思えていた。
「ふむ……」
 顎に手を当て考えるレミリア。グングニルを突き刺した時、生き物を斬った感触はあまりなかった。神の一撃が人体ごときに抵抗されるはずもないのだが、仮にも美鈴は妖怪である。多少は手ごたえというものがあってもよさそうだ。
 ということは美鈴は鉄板を挿した時点で切断されていて、今自分が切ったのは上半身と下半身の間にできた隙間だったのだろうか。いやいや、それなら何故斬られた段階で美鈴は口を利けたのか……
「いかがですか?」
 咲夜が聞いてくる。レミリアは少し考えたのち、
「今回も見事な時間操作ね」
 と結論付けた。
「お嬢様、時間操作ではこのような状態を作れません」
 咲夜が指し示す箱は今でも真っ二つである。ただし、頭の方は手持無沙汰な表情をしているし、足の方はフランドールがつついて遊んでいる。ピクピクと力なく動く足は、パチュリーがそろそろ限界であることを示していた。
「冗談よ」
 そう言うレミリアだが、答えを出すことはできなかった。どうしても「咲夜は時間操作ができる」という固定観念に囚われてしまう。
 マジックは種明かしをしないのが基本なのだが、このまま終わらせてしまえばこの幼い吸血鬼は当分機嫌が悪くなってしまう。
「お嬢様、実はこちらの箱にはパチュリー様がいらっしゃいます」
「え……ああ、なるほどね。最初から二人入っていたと」
「そういうことです」
「なんだ、てっきりお得意の時間停止を駆使したのかと思ったけど、普通のマジックもできるのね」
 レミリアが感心していると、パチュリーの足と格闘していたフランドールが声を上げた。
「凄ーいホントに斬れちゃってるんだね。冷たくなってきてるよ」
『…………』
 沈黙する咲夜とレミリア。もはや反応を示さなくなったパチュリー(の足)を見て、咲夜は少々やりすぎたかと反省した。
 この後パチュリーは図書室にて司書による必死の介抱を受けるのだが……それはまた別の話。



今回の中編は咲夜さんがメインです。

その過去話でも書いてみようかな、と思ってPCに向かったのですが、一話分書いた時点で一切関係なくなっていることに気づきました。

完全な茶番ですね。本番は第2章以降となります。

前回の中編とは異なり、今回は三人称小説の形態をとることにしました。話全体をみると、あまり登場人物をピックアップし過ぎない方がよい気がしましたので。

一つの場に登場する人物が多いほど、三人称が合う気がします。当然といえば当然ですが。

さて、次回のアップ約一週間後。実はまだ未完なのでペースアップが必要となっています。がんばります。
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[ 2012/11/11 20:00 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

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