Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

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短編「鞍馬諧報」

ふと見たらアクセスカウンタが「444」に。……不幸だ。

それはさておき短編です。宣言通り土日中にアップできました。こういう時に限って雑談記事のネタが浮かんできますが

今回は射命丸文のお話です。時系列は第120季の11月ごろ。花映塚の異変が終わった直後であり、香霖堂の「洛陽の紙価」の少し前です。

ここまで詳しく時系列を決めている二次作家も珍しいのかなと思いますが、できる限り「原作に忠実に」を目指していますので、原作の歴史の中に放り込んでも影響が出ないようにいろいろ考えています。

まあ所詮二次創作なので本家の設定と違ったところで問題はないんですけどね。私個人のこだわりです。

それでは続きから、どうぞっ!


「鞍馬諧報」

「やはり……」
 もうすぐ冬も本番になろうという幻想郷。山の木々は深紅に染まった葉をわずかに残し、冬籠りを迎えようとしていた。
 稔りの秋とは一変閑散としてしまった山道を下るのは、鴉天狗の妖怪、射命丸文である。
「私もあれぐらいしないといけないのでしょうか……」
 いつも幻想郷の住民に見せる活発な様子とは異なり、この日の文はいつになく暗かった。
 天狗社会では、各々が自慢の新聞を披露しあい、その良さを競う大会がある。今日はその結果が公表されたのだ。
 結果から言うと、文の新聞「文々。新聞」は落選し、とある大天狗の新聞「鞍馬諧報」が優勝した。
 文にとってこの結果が不服だったわけではない。むしろ鞍馬諧報は賞に見合う素晴らしい新聞である。
 ネタの鮮度はもとより、それを徹底的に噛み砕き、面白可笑しく伝えられる技量は他者の追随を許さない。文の目指している方向性とも似ており、まさに「憧れの目標」と言っても差支えなかった。
 なぜこんなに面白い新聞が作れるのか。文にはそれが気になって仕様がなかった。
「こういう時は、取材ですね」
 知りたいことがあればすぐさま調べ、必要に応じて記事にする。これが文の新聞記者としての生き方である。
 受賞した大天狗は仲間とともに祝いの宴の真っ最中。直撃取材もいいが、こういう時は裏からこっそり取材をした方がよいネタが手に入りそうだ。
 取材モードに突入した文は先ほどまでの落胆ぶりを忘れたかのように勢いよく翼を広げ、大天狗のいる宴会場へと向かった。



「……新聞記者でもやっていいことと悪いことがあります」
「はい……」
 程なくして文は大天狗の偵察を始めたのだが、殆ど何も見ることができないまま警備をしていた白狼天狗に捕まってしまった。
 同じ天狗が相手では実力行使というわけにはいかない。文の持つ写真機と白狼天狗――名は犬走椛と言う――の携える大剣ではその戦闘力は雲泥の差だ。
 一通りの事情聴衆を終えた椛は文に悪意がないと判断し、簡単な持ち物検査をして解放した。上司に報告されなかったことは文にとって一番の救いである。
「しかし、こうなってしまうと取材の続行は難しい……」
 流石に二度目の捕縛となると何らかの制裁措置があって然るべきだ。もうあの会場に近寄ることはできないだろう。
 しかし文に限らず、鴉天狗にとって報道は本分である。そう簡単に諦めるわけにはいかない。文は次の手を考えた。
「まあ、本人が駄目なら搦め手から攻めるのが王道ですね」
 鴉天狗にとって取材対象が「攻める」相手になっていることを今更突っ込む者など幻想郷にはいない。取材というのは報道であると同時に攻撃でもある。故に幻想郷の住民は記事にされることを嫌う傾向にある。
 それを理解しているか否かは定かでないが、とりあえず山の妖怪を中心に「鞍馬諧報の優勝について」聞き込みを開始した。



 或る山伏天狗曰く、
「鞍馬諧報? あー確かにあれは面白いよね。でもどっちかって言うと娯楽要素強いかな」
 また或る鴉天狗曰く、
「あの大天狗様には才能を感じるよ。私もあんな新聞が書けるようになりたいね」
 またまた或る河童曰く、
「確かに面白かったけど……あれは新聞って括りでいいのかな」



「うーむ、確かに評判はいいけど、この方向性に疑問を抱く声も少なくない……か」
 思ったことを文花帖にメモし、筆の反対側をこめかみに当てる。調査結果は曖昧で釈然としないものだった。これでは記事にしてもパッとしない。
 こういう時は別の視点から取材をするべきだ。山を下りて、より多くの意見を聞いてみるべきだろう。
 すでに文の中でこの件を号外としてばら撒くことは規定事項となっており、そのためにはもっと広い視野での取材が必要不可欠となる。



 魔法の森は幻想郷の中でも人間、妖怪共に滅多に寄り付かない場所である。
 そこらじゅうに生える茸の胞子が、一部の特殊な人間以外を寄せ付けないのだ。
 文にとってもそこは居心地の良い場所ではなかったのだが、それでもここに取材に来た理由は、一部の特殊な人間から話を聞く為であった。
「ここですね……」
 文の眼前に佇む家宅は外壁一面に蔦が這い回り、一見すると空き家になってずいぶんと年数が経っているようにも思われた。しかし今でもしっかりと人が住んでいる。人と言っても“元”人だが。

「文々。新聞でーす! 聞き込み調査に参りましたー!」
「わひゃぁ!?」

 文がいつものように礼儀正しく礼儀知らずな突入をすると、その家の住民は奇妙な返事で出迎えた。
 文の取材は基本的に突撃あるのみなので、取材対象に驚かれることは日常茶飯事である。しかし、今回の驚き方は少し異なった。突然の来客に驚いたというよりは――
「な、なんだあなただったのね。……、わっ私はただ人形を弄っていただけよ」
 何か隠さなければならないことが見つかった時のような驚き方だった。
 人形を弄っていることなど、彼女にはわざわざ主張する必要もない当たり前の行動だ。
 アリス・マーガトロイド。森の人形遣いとして知れ渡っている魔法使いは、両手に二体の人形を持って文を凝視する。その頬はわずかに紅く染まっていた。
 その様子を見た文は詳しく問い詰めたい衝動に駆られたが、今回の要件はもっと優先順位が高い。
「この度の新聞大会で優勝した『鞍馬諧報』はご存知ですね?」
「そんなの知るわけないじゃない」
「今日はその新聞を読んだ感想を教えて頂きたく思って参上しました」
「聞いたこともない新聞の感想を言えというの? 随分斬新な聞き込み調査ね」
 文は無言で鞍馬諧報を押し付ける。受け取ったアリスはあまり乗り気でない表情で読み始めた。
「ふーん……フッ……フフッ……」
 時々鼻で笑いながら読み進める。先ほどまでの気まずそうな表情はなくなり、新聞を読む視線は次第に動きを速めていく。
 すべて読み終えたアリスは「ふー」と息を吐き、文に新聞を返しながら言った。

「なかなか面白い読み物ね。でも――これは少なくとも新聞じゃないわ。新聞というのは世の中の出来事をありのままに伝えてこその新聞よ。多少書き手の意思が入り込むことはあるけど、これはいくらなんでも酷すぎる。事実が二割も書かれてないじゃない。その代わりに記事を埋めてるのは出鱈目ばっかり。これを新聞として売りつけるのは立派な詐欺行為だわ」

 アリスの言葉を速記者のように文花帖に書き込んでいた文だが、途中で筆を持つ手は止まっていた。無意識でのことである。
 何故だろうか。先ほど天狗や河童たちが指摘したことと大して変わらないのに、この魔法使いの口から放たれた言の葉はどこかに引っ掛かる。喉に小骨がつっかえたような不快さに苛まれる。
 自分でも気が付かないうちに、文は反論していた。
「しかし読み手にとって面白いということは重要なのではないですか? どれほど事実に基づいた記事でも、それを読んで面白いと思わなければ読者は減ってしまうでしょう」
「そんなことはないわ。きちんと正確に事実を伝えてくれる新聞なら、むしろ需要は高まると思う。楽しむために読む新聞は新聞ではない。それは単なる道楽だわ」
 返す言葉もない。アリスの言うことは正論だ。むしろ何故自分が反論したのかがわからなかった。普遍的な新聞とは、事実をありのままに伝えるものである。それを皮肉ったり曲解することも可能だが、書き手の意見を挟めば挟むほどそれは新聞から遠ざかっていく。
 そもそも幻想郷の住民から話を聞くことが趣旨である取材なのに、記者である自分が反論しては意味がない。
「しかし――」
 文は、自分の目指す方向性を真っ向から否定されたのが悔しかった。鞍馬諧報は天狗の中で最も優れた新聞と評された。それをこうも簡単に否定されてしまい、同じ天狗として黙ってはいられなかったのだろう。
「まだ何か聞きたいことがあるのかしら」
「……いえ、これ以上は」
「そう。用事がないなら帰ってもらおうかしら。私もそんなに暇じゃないのよ」
「わかりました。失礼します」
 一応アリスの言ったことをメモし、それ以降は何も言わずにアリス邸をあとにした。



 あちこちに茸が生えている道を歩きながら、文はこの取材を打ち切ることを決めた。
 アリスの言い分はもっともだが、やはり譲れない部分もある。天狗達にとって新聞とは楽しむものだ。そこを否定されるのでは議論の余地はない。これを新聞と呼ぶのか否かは別にして、文は今まで通りの方向性を貫くことを決意した。
「ちょうど、新しい号外のネタも見つけたことですし……」
 呟きながら、首から下げている愛用の写真機を手に持つ。僅かに茸の胞子がかかった写真機にフッ、と息を吹きかけ、レンズの周りを大切そうに指でなぞった。




つづく……

となりそうですが続きません。少なくともこの話は。

でももしかすると今回と同じ時間軸で何かイベントが起こっていて、それが短編として描かれることはるかもしれません。

何故こんな曖昧な言い方をするかというと、まだはっきり決まってないからですね。

一応話が作れるようにいくつか伏線を張っておいたのですが、これが活用できるかどうかはまだ未定です。

そこで閲覧者様にお知らせが。

来週は高確率で小説のアップができません。

ちょっとリアルの方で忙しくなるので1本書きあげるのが難しいのと、中編に向けての準備期間も必要です。

そのため、今までほぼ1週間ペースでアップしていた小説が1回休みになります。ご了承ください。

まあ? でも? もし私が超ハイペースで作業を終わらせばアップは可能ですが、その確率は10を-3乗した数に1/3をかけたぐらい低いので、あまり期待はできません。申し訳ありません。
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[ 2012/10/28 15:33 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
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