Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

無題 第九章

前回の小説記事で、「次回の更新は早めにできる」と宣言しておきながら4日も経ってしまいました。謹んでお詫び申し上げます。

実を言うと、原稿自体は前回アップした時点で既に完成していたのですが、雑談記事に書きたい事が連日続いたので後送りになってしまいました。

さて、前回を振り返りますと。

突如現れた紫によってスキマ送りにされてしまった霊夢と魔理沙。二人の運命やいかに――!

というわけで本編は続きからどうぞっ!



第9章

 目の前に広がるのは、得体の知れないものたち。それがこの世のものかどうかもわからない、言うなれば「混沌」。
 私が「スキマ」に落とされてから、どれぐらいの時間が経ったのかしら。もはや上下感覚も無くなっていて、ただふよふよと浮かんでいるだけだった。
 魔理沙の姿が見えない。同じスキマに落とされたはずだけど、今はもう呼びかけても返事はなかった。
「紫……」
 私達が幻想郷を出るとき、紫は普段見せない表情をしていたように思える。しかし、再び私達の前に現れたときは、いつも通りの何を考えているか読めない顔に戻っていた。
 紫に、幻想郷に何があったのだろう。考えれば考えるほど混乱してきて、ただただ思考の渦を彷徨うだけだった。
 そんな時、すっ、と空間に亀裂が入り、そこから私は「世界」に放り出された。

「ここは……」
 辺りを見渡すと、見慣れない景色が広がっていた。確実に幻想郷じゃない。でも、さっきの人里でもなさそうね。
 薄暗い道。無機質な石の壁に挟まれたその空間は、明らかな不衛生さを醸し出している。
 よく見ると、道の向こうから光が差し込んでいる。太陽の光ではない。証拠に、頭上に見える三日月が夜を告げている。
 ゆっくり光の放たれる方へと歩いていくと、大きな道に出た。そして、そこには不思議な光景があった。
「…………」
 見回しても、反応することが出来ない。
 所狭しとそびえ立つ巨大な建物。何階建てかも数えたくなくなる高さを誇るそれらには、いくつもの光が人の気配を示している。
 私のすぐ脇に立つ建物の一階にあたる部分は、沢山の物が陳列されている……雑貨店かしら。何かの店が、煌々と光を放っていた。
 この景色を前にして、私は今どういう行動をとればいいのか分からない。自分が何をしていたのかも忘れそうになるほど、巨大な世界が広がっている。
「そうそう、魔理沙を探さなきゃ」
 同じスキマに落とされたんだからこの近くにいるかもしれない。とりあえず合流しないと先へ進まないわ。
 私は、魔理沙を探すべく当てもなく歩き出した。
 やってることはいつもの異変解決と同じなんだけど、今の「当てもなく」には果てしない不安があった。



「っつう……痛ぇなあ」
 訳の分からない世界に落とされてから再び外に出られるまで、どれほど時間が経ったのかは分からなかったが、とりあえず今が夜だって事は理解した。
 上を見上げると星空が広がっている。と言っても、星の数はかなり少なく、一等星や二等星ぐらいしか見えないけどな。
 私は、何かの建物の屋上にいるようだ。どうしてこんなところに来たのかは知らん。あの妖怪に訊いてくれ。
 しかし……かなり高いな。幻想郷にはこんなに高い建物はないだろう。紅魔館の屋上をはるかに超越してるぜ。
 高いところには耐性があると思っていたんだが……こうして真下を見下ろすと、高所恐怖症の奴の気持ちが分かるような気がする。怖ぇ。落ちたら即死だろ、これ。
 さて、スキマの中ではぐれちまった霊夢を探さないとな。多分あそこに見える扉の向こうに、階段でもあるんだろう。
 行ってみると、案の定下の階へと続く階段があった。覗き込むと、照明が無いせいか一番下は暗闇だ。
「あ、そうだ」
 暗い階段は危ないもんな。そんなときこれが役に立つ。
 私は軍服のポケットからミニ八卦炉を取り出し、威力最小で炎を出した。これで松明代わりにはなるだろう。
 こんな形で役に立つとは。香霖に感謝だな。

 どこまでも階段は続き、次第に足が疲れてきたが、道が続く以上歩き続けなければならない。まずは霊夢と合流するのが第一目標だ。
 しかし、上の階は窓から月明かりが入ってきたからまだ多少明るかったが、ある程度下の階まで来ると、窓の外は隣の建物に阻まれて光が入ってこない。真っ暗だぜ。
 ちょっと八卦炉の威力を上げるか。そんな、軽い気持ちで火力を上げたら――

 ――ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!

「!」
 突然でかいベルの音がして心臓が飛び出そうになった。なんだ? これは何のベルだ!

 ――ファアン ファアン 階段踊り場から火災発生。階段踊り場から火災発生。直ちに避難してください。

 どこからともなく人の声がする。その辺に誰かいるのか? って言うか火災発生って、まさかこの八卦炉の所為か?
 誰かがいるなら出てきてもらいたいところだが、鳴り響くのはベルの音だけだった。しかし、しばらくして別の人の声が聞こえてきた。
『あー、踊り場にいるキミ、聞こえるかね? 直ちに一階の事務所に来なさい。繰り返す。直ちに一階の事務所に来なさい』
 カチャッ、という音を残して、声は聞こえなくなった。
 ……今のは確実に私のことを言ってるよな? まずい。事情があるとはいえ、他人から見ればこれは不法侵入。許されざる犯罪だ。
 一階に「事務所」という場所があり、そこに人がいるのは確かなようだが、素直にそこに行ってもいいものだろうか。
 「事務所」に向かうかそのまま逃げるかを考えながら階段を降りる。今、踊り場の表示が「↓一階」を示しているので、おそらく事務所はすぐそこだ。
 最後の階段を下りると、なるほど確かに明かりの点いた部屋があり、入り口付近に「事務所」と書かれた看板がある。……よし。
 私は足音を殺して事務所に近づき、廊下に面した窓の隙間からミニ八卦炉を覗かせた。そして――八卦炉から火球を放つ!
 火力こそ低いが重低音を放って飛び出した火球は、近くにかかっていた暦に燃え移った。今だぜ!
 事務所内にいる何人かが突然燃え出した暦に驚くのを横目に、私は全力で出口へと走る!
『お、おい! カレンダーが燃えてるぞ!』
『何だこれは! 消火器は! 消火器はどこにある!』
『に、逃げろーっ!』
 阿鼻叫喚に包まれる事務所。作戦は成功だ。ちょっと申し訳無い気もしたが、ちゃんと消火してるようだし問題ないだろう。
 もしもう一度ここに訪れる機会があるのなら、お詫びに菓子折りの一つでも持って行けばいい。
 出口の扉を開き、まだ見ぬ外の世界へと飛び出した。





第九章でした。

この原稿を書いていたとき、眠い目をこすりながらPCに向かっていたのを覚えています。その為前半部分がやけに暗くなっていますが、ある意味状況に合っているので良かったのかなとも思います。

あとこれを書いていた頃、古本屋でまとめ買いした「まどマギ」を一気読みした直後だったので、見えないところでそれに近い空気になっているような気もします。

良い作品は自身の創作活動の糧となりますが、それに影響されるのは作家のはしくれとしても致命的です。

そういう意味で、私自身学ぶところの多い章となりました。

さて次回予告。

探し疲れて公園に辿り着いた魔理沙。ベンチに座るとそれまで押し殺していた感情が一気に湧きあがってきます。未知の世界で何もできない魔理沙は、何を感じるのか――

……というわけで、ある意味過去一番のシリアス回になりそうです。私が一番力を入れた回でもあるかもしれません。ご期待ください。
スポンサーサイト
[ 2012/08/17 21:04 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

プロフィール

Jr.

Author:Jr.
 
Jr.です。

趣味は東方メインですが、デュエマ、ガンプラ、ラノベにアニメと広く浅く楽しんでいるつもりです。

新潟に在住しているので、時折ガタケットや新潟東方祭に参加しています。

Yahoo!知恵袋でも活動中。Myページはこちら


お気に入りのライトノベル

・生徒会の一存
・デート・ア・ライブ
・涼宮ハルヒの憂鬱
・とある魔術の禁書目録
・僕は友達が少ない
・バカとテストと召喚獣
・キノの旅
・学園キノ
・ささみさん@がんばらない
・灼眼のシャナ
・ノーゲーム・ノーライフ

最近見たアニメ

・ジョジョの奇妙な冒険
・ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダース
・進撃の巨人
・デート・ア・ライブ
・ささみさん@がんばらない
・僕は友達が少ないNEXT
・リトルバスターズ!
・リトルバスターズ!~Refrain~
・機動戦士ガンダムUC
・魔法少女まどか☆マギカ
・とある科学の超電磁砲
・とある科学の超電磁砲S
・とある魔術の禁書目録
・とある魔術の禁書目録Ⅱ
・化物語
・偽物語
・猫物語(黒)
・物語シリーズセカンドシーズン
・日常
・Steins;Gate
・Robotics;Notes
・ストライク・ザ・ブラッド
・ノーゲーム・ノーライフ
・まおゆう魔王勇者
・Fate/zero
・Fate/staynight[Unlimited Blade Works]

ブロとも申請フォーム


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。