Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

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長編「幻想危機」十三章

お久しぶりです。一週間空けての更新となります。

前回は解説パートで幕を閉じました。

今回からまたちょっと、アクティブな方向に話が進んでいくかと思います。

ちなみに前半部分はまだ解説パートです。能書きばっかの某格闘技番組みたいになってますが、限られた場面で設定を描写しきれなくなっているのは私のミスです。読みにくく感じた方にはお詫び申し上げます。

さて、今回は脱走した早苗と天子が山へと向かう場面から始まります。

このとき今作での裏設定などにちょっと触れたりするのですが、ここで天子がいろいろ言っていることはあくまで二次設定ですので、鵜呑みにして掲示板などに広めると大変恥ずかしい思いをします。お気を付け下さい。

また、途中で一瞬永夜抄パート入ってますので、前回の流れを忘れてしまった方はざっと読み返した方がよく分かるかもしれません。

それでは本編は続きから。どうぞっ


 人間の里から妖怪の山までは、一本の街道が通っている。
 街道と言ってもそれほど賑やかではなく、里と登山道を繋ぐ役割しか持っていない。
 守矢神社ができてからはある程度整備がされたものの、その道を行く人の数は変わらず、いつ見ても寂しい道だった。
 そんな寂しい道を、二人の人影が駆け抜けている。
 守矢神社の巫女にして現人神である東風谷早苗と、荒ぶる剣の持ち主である天人くずれ、比那名居天子だった。
 つい先ほどまで行動の自由が奪われていた二人だが、今はこうして妖怪の山へと向かっている。
「早く剣を止めないと、状況は一刻を争いますね」
「よく他人事みたいに言えた物ね。あんたらが剣を放置したせいで暴走したんでしょ」
 天子は苛立ちを見せながらも自ら剣を止めに向かっている。
「そうよ。私が緋想の剣を一番上手く使えるのよ……」
「まったく、頭が上がりませんね」
 命蓮寺から『避難』させられる途中、守矢神社の方角から龍が現れた。龍はすぐに雲へ昇って行ったかと思うと、そこから大音響の聲を張り上げた。
 早苗たちがいた場所から守矢神社まではかなり距離があったが、それでも眩暈と耳鳴りが同時に訪れるような爆音だった。実際、ぬえは僅かの間気を失っていた。
 緋想の剣を止めるためにも、逃げるなら今しかないと踏んだ早苗と天子だが、その為にはマミゾウを振り切って逃げる必要がある。その時でこそ目を白黒させていたが、事あらば決して弱くはない力を揮って応戦するだろう。何故なら、マミゾウにとって早苗と天子は、不当に拘束された哀れな被害者なのだ。素直に着いて行って然るべきであり、無理に逃げようとすれば疑惑を与えてしまう。
 しかし、ぬえが起きていないか確かめたマミゾウは、自ら早苗と天子を逃がしてくれた。
(マミゾウさんは何かを知っていたのかしら……)
 普段あまり会話を交わさないが、マミゾウは常に自分たちよりも一段深い所にいるような気がする。こういった事件が起こっても、決して慌てず冷静に対応していた。
 もしかすると、マミゾウは早苗や天子すら知らない真実を知っていて、そのうえで二人を逃がしてくれたのかもしれない。
「ま、あの人はそういう人か」
「うん? 何が?」
「あっいえ! 何でもないです。ただの独り言……」
「?」
 深く考えすぎていたのか、頭の中の考えが口から出ていたようだ。思考を切り替え、今必要な考えを巡らせる。
「やっぱりあの龍は剣に呼び寄せられたんでしょうか?」
「ええ、おそらくはね。緋想の剣は『真の草薙の剣』とさえ呼ばれる逸品よ。龍神ぐらい呼び寄せたって不思議じゃないわ」
「真の草薙の剣……なんだか胡散臭いですね。真の草薙の剣がそうであるなら、本物の草薙の剣は何なのですか?」
「偽物でしょ? それも八百年以上前にすり替えられてるじゃない」
「ええと……『いいくに作ろう』が鎌倉で……あ、壇ノ浦の戦いですか?」
「そうよ。愚かで無策な地上人どもが起こした戦争で、須佐之男命の努力は水の泡となった。分かる? 神の作った世を統治するために、神が遺した宝を捨てたのよ」
「最早これまでとなった平家が抱え込んで身投げしたんですよね? 確かに自己中心的な破滅思考ですけど、『平家にあらずんば』なんて言う人達ならやりかねないですね」
「ふん。だから下界の人間は嫌いなのよ」
 そう言う天子だが、剣の暴走と龍の出現の関連性については言葉を濁したままだった。分からなかったのだろう。
「では、緋想の剣が『真』と呼ばれるのは何故なのですか?」
「緋想の剣も神代から伝わる宝剣で、八岐大蛇と似たようなエピソードがあったからでしょう。口伝えでしかないから確証はできないけどね」
「なるほど。差し詰め大ナマズの尻尾からでも出てきたのですかね」
「ふふっ……そうかもしれないわ。私はその辺詳しくないけど」
(しかし……)
 特別天界の事情に通じているわけではない早苗だが、一つだけ分かることがあった。
(森の道具屋で見たんだけどなぁ……草薙の剣)
 神奈子と諏訪子が断言していたのだから間違いない。道具屋香霖堂で大切に保管されていた一振りの宝剣は、海に沈んで幻想となった草薙の剣だった。
(まあそれを言うのも野暮ったいし、黙っておこうかな……)
 天子の言うことは、天界で伝えられていることは、どこまでが真実なのだろうか。



「なるほど。天界の剣が原因ですか」
「そういうことじゃな。剣がどうして天気に影響するかまでは解らんが、山の狸が言ったことじゃ。間違いはなかろう」
「果てしなく不安ですけどね。狸は人を化かすじゃないですか」
「フォッフォッフォ。確かにそうとも言えるが、普通の狸は知能が低くて自身の都合の良いように化かすことは出来ん。『相手が求める物』に化けることが精一杯じゃな」
「確かに狸に化かされた話は大抵、化かされる人間が良い思いをしたと思ったら狸だった……というケースが多いですね」
「人間を思いのまま操れるようになった時、狸は妖怪狸へと進化するのじゃ」
「兎も人を騙して妖怪化しますからね」
「そうなのか? 兎に化かされたという話は耳にせんがのう……」
「よく化かすんですよ。うちの妖怪兎は」
 客間の方から『ヘクチッ!』とくしゃみが聞こえた。
「それで、緋想の剣を止めるには天人の力が必要なのですか?」
「そうじゃ。多少暴走したくらいなら、剣の持ち主である大村守や、そこに仕える名居一族の力で抑え込める」
「……あー」
 何かに気付き、苦い顔をする永琳。
「うん? 何か問題があったかな?」
「いえ、今山に向かっている天人はですね――」
「……もしや」
「名居一族ではなく、更にそこへ仕えていた比那名井一族の娘でして」
「……どうなるかのぅ」



 既に今日だけで何度足を運んだことか。
 霊夢と魔理沙、そして咲夜の三人は、守矢神社に舞い戻ってきた。
 最後に見た漏斗雲は消え去っていたが、 代わりに神社そのものがバラバラに崩れ去っている。霊夢の夢想封印にすら動じなかった外壁は今や見る影も無くなっていた。
 神社が何故崩壊したのかは分からない。緋想の剣の力かもしれないし、龍が現れたときに崩れたのかもしれない。あるいは単に、弱っていた矢先の強風に耐えきれなかった可能性もある。
 緋想の剣は、霊夢の身長の倍ほどの高さで、切っ先を下に向けて浮いている。紅く発光する『気質』が、より見晴らしの良くなった上方へとまっすぐ伸びてゆく。上空の雲は、部分的に紅く発色していた。
「これを壊せばいいのね」
 言葉にするのは簡単だが、実際そう素直にはいかないだろう。
 先ほど神社の中を探った時、この剣を守る術がかけられた扉は、霊夢の攻撃に反応して自動的に反撃をしてきた。そのような仕掛けが剣本体にも施されているとすれば、単純に攻撃すればよいという問題ではなくなるのだ。
「どうする? 魔理沙。力押しってわけにはいかないかもしれないわよ」
「そうだな。さっきの夢想天生をもう一回やってみたらどうだ?」
「それでいいのかしら?」
「こういう時、二度目は通用しないのが普通ですわ」
 咲夜の言うことはよく分からなかったが、ダメで元々、霊夢は本日二度目のカードを切る。

「夢想天生!」

 先程と同じように、霊夢の姿が半透明になる。
(やっぱこの技って対処できないよなぁ……)
 その様子を見ていた魔理沙が思う。
 夢想天生は元々スペルカードではなかった。しかし、あまりに強すぎることから魔理沙がこの名を命名し、スペルカードのルールで打ち破れるようにしたのだ。
 即ちこれが霊夢の本気であり、スペルカードルールという枠組みが無ければ、魔理沙はおろかほとんどの人間・妖怪が霊夢を倒すことは不可能である。
 この技を見ると、魔理沙は自身と霊夢の間にある『越えられない壁』を痛感させられる。だから魔理沙はこの技が嫌いだった。そしてその技は、
「……効いているのかしらね?」
 訝しむ咲夜だが、霊夢の表情に揺らぎはなかった。見た目では判らないが、ダメージが入っているのかもしれない。
「しかし……あれでは駄目だな」
「そうかしら?」
「攻撃の勢いに比例して、気質の噴出が激しくなっている。おそらくは『受け流してる』んだろうな」
「ああ、確かに。そうにも見えますね」
 やがて“撃ちつくした”のか、霊夢の姿がもとに戻った。
「はひィ。全然手ごたえが無いわね」
「右から左ってやつだな」
「下から上ね」
 予想通りの振り出しである。夢想天生すら受け流してしまう対象に、ダメージを与えることはできるのだろうか。
(そういや、天子を倒した時も剣だけは機能し続けてたな……)
 数年前、天子と初めて相対した時のことを思い出す。天子が力尽きた後も、緋想の剣は臨戦態勢を崩さなかった。最後の方は剣が天子を操っていたとも言える状況だったのをはっきりと覚えている。
(つまり、剣本体にも使用者とは別の『意志』がある……?)
 魔理沙は思う。緋想の剣とは、自分たちが想像するよりもよほど強固な攻撃力・防御力を兼ね揃えた、戦の具現のような存在なのではないだろうか。
 しかも人間や妖怪と違うのは、無機質であるが故の圧倒的な耐久力。
 生物は基本的に、持てる力の半分も出すと体中に負担がかかってしまう。それを防ぐために脳が力をセーブしているのだ。しかし緋想の剣は、おそらく己の身が崩れ去るまでその役割を全うするだろう。つまり圧倒的な攻撃で降参を誘う霊夢のやり方は、この戦闘に置いて不利だと言える。
(だったら……物理的に破壊するのみ!)
 魔理沙は持っている。有機無機に関わらず、あらゆる物体に致命的なダメージを与えられる戦術を。
「退いてろ、霊夢! 私がやる!」
 箒にまたがり、剣の真上へと飛ぶ魔理沙。霊夢と咲夜が避難したのを確認し、ミニ八卦炉を取り出した。

「ファイナルマスタースパーク!」

 光の柱が生まれた。
 魔理沙の手元から放たれる圧倒的な魔力の渦は、一直線に緋想の剣へと突き刺さり、緋色の気質と混ざり合ってより輝きを増す。
 剣も受け流そうとしているようだが、先ほどの夢想天生とは違い、ファイナルマスタースパークには逃げ場がない。上も下も前後左右まで攻撃に包まれるので、力を逃がすことができないのだ。
「剣に変化が見られるわね」
 咲夜に指摘され、剣に注目する霊夢。魔理沙の攻撃を受けて、剣は不自然に膨張しているように見える。
「その調子よ、魔理沙! 攻撃は有効だわ!」
「おっしゃ、これでとどめだぜ!」
 八卦炉を操作すると、光の柱はより一層強くなった。すると剣はますます膨張し――

 ――ドォン! という音とともに爆発した。

「やった……のかしら?」
「煙で視界が……」
 霊夢と咲夜が目を凝らす。攻撃を終了した魔理沙が着地すると、徐々に視界が開けてきた。
 しかし、

「何……だと……」

 そこにあったのは、あらゆる予想よりも悪い結末だった。



長きにわたる解説パートが一段落し、本格的にアクティブパートに入ってきました。

しかし、もはや今作の特徴となってしまいましたが、静かに盛り上がるタイプの展開になると思います。

でも一番やりたくないのは、何となく盛り上がって何となく静まってしまい、結局どの辺がクライマックスだったかよく分からなくなってしまうという状況ですね。

まだ最後まで執筆していませんが、如何にして最大限の盛り上がりを見せるかが課題となってきそうです。

さて次回は。

ファイナルマスタースパークを受けた緋想の剣は、霊夢たちが予想もしなかった変化を遂げます。

さらに事態は悪化し、もはや霊夢たちの手には負えなくなってきました。

しかしそこに、もう一人の妖怪があらわれ……

更新は来週です。ご期待ください。
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[ 2013/06/23 15:18 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
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