Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

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長編「幻想危機」十二章

世間はすっかり梅雨となりましたね。

新潟は辛うじて梅雨入りしていないのかな? もう梅雨入りしたのかな? まあ境目ぐらいです。

梅雨を題材にした当小説……未完です。現在進行形で書き続けています。

これはもうジャストシーズンは諦めて普通に書くべきかもしれませんね。焦って中身が薄くなってもしょうがないですし。

それにここ数日リアルが忙しくて殆ど書けていないので、ストックこそまだありますが、週一ペースでの連載だと徐々にそれも減ってくるんですよ。

そのため、ちょっと来週はお休みをいただいて、翌々週に再開することにしたいと思います。

さて、前回は龍が召喚されたところで終わりました。今回はちょっと場面がずれて永遠亭です。

永遠亭にも龍出現の様子は伝わっていますが、人間の里に比べて山から少し離れているため、反応も少し違うようです。

そんな永遠亭に、列をなして向かう集団があった――今回は、そんな話。

それでは本編は続きから。どうぞっ


 幻想郷の南側には、鬱蒼と生い茂る竹林がある。迷いの竹林と呼ばれるこの一帯は、その名の通り非常に迷いやすい地形が特徴だ。
 それゆえ普段は里の人間など寄り付こうともしないのだが、この日に限っては状況が違った。
 大水によって避難を余儀なくされた人たちは、ある程度高台にあり水捌けのよい場所を求めてこの地へ殺到し、数十から百近くの人間たちが列を成して歩いている。
 目的地はあった。この竹林のどこかにあると言われている屋敷、永遠亭である。
 里に住む人間なら、永遠亭と言う言葉を一度は耳にしている者がほとんどだ。
 怪我や病気で薬が必要となったら、必ず頼るのが八意永琳という医者である。彼女の薬はよく効くばかりでなく、副作用も少なく値段も手ごろであり、まさに致せり尽くせりといった具合だ。
 その永琳の住む屋敷が迷いの竹林にあり、そこで避難者を受け入れているという噂が流れたため、こうして列を成しているのである。
 もっとも、冷静に考えれば永遠亭で避難者を受け入れているなどデマであるのは明らかだった。最初に言いふらしたどこかの誰かが、どうやってその情報を手に入れたかを考えればすぐ判ることである。
 しかし、里まで水が溢れてきたことで冷静さを失った人々は、その噂を耳にしただけで藁にもすがる思いで竹林に殺到した。皆が同じ目的地を目指すことで、集団心理による安心感を少しでも獲得したかったのであろう。
 ちなみに、こうして隊列を組んで移動することは、迷いの竹林で迷わない為のかなり有効な手段だった。一人二人ではすぐに迷ってしまうが、前後に人の流れがあれば概ねの進む方向は把握できる。
 迷うことさえなければ、永遠亭は想像よりずっと近くに現れる。先頭を歩いていた人々の前には、程なくして古い和風建築の屋敷が見えてきた。



「お師匠様、表に人間が集まってます!」
 見張りの兎から情報を得た鈴仙・優曇華院・イナバは、大慌てで報告をした。
 それに対して師匠と呼ばれた人物、八意永琳は、特に慌てた様子も無く応答する。
「ここは比較的安全ですし、人が集まるのも無理はないですね。屋敷の空いている部屋を開放して、避難させましょう」
「よいのですか? そこそこの人数がいますけど」
「何人ぐらいかしら?」
「ええと……ざっと百人程だそうです」
「…………」
 それを聞いた永琳はしばし考えた。
「……ちょっと全員は厳しいですね。女子供を優先して部屋に入れ、余りは廊下などに寝てもらいますか」
「はいっ」
 しばらく待つと、鈴仙や妖怪兎の因幡てゐに連れられて、次々と人が入ってきた。
 永琳は廊下を通される彼らを自室から観察する。その表情は、どれも怯えきっていた。
(家を失ったんだから当然かしら。それに、さっきの雷――)
 つい先ほど、凄まじい轟音と共に地響きを感じた。おそらくは雷が近くに落ちたのだろうと思い、それほどに気は止めてなかったが、その中を歩いてきた人たちの心境には何らかの変化があってもおかしくない。
 すると、里で暮らす一般人の他に、明らかに浮いた格好をしている者がいた。
 顔立ちは十代中頃の少女だが、背中から鍵爪のような羽と釣り針のような羽が生えている。これで目立たないと思う方がどうかしている気がするが、当の本人は全く気にする素振りを見せていない。
 永琳は、その少女がどういう名前の妖怪かを知っている。
「封獣ぬえさんね」
 呼び掛けに気付いたぬえは、一瞬躊躇ってから部屋に入ってきた。
「どこかで会ったかな? 私はあなたの名前を知らないんだけど」
「そうかもしれないわね。でも私はあなたの名前を知っているわ。命蓮寺から逃げてきた、封獣ぬえさん?」
「……っ、どこまで知ってるのかしら?」
「さあ、どこまでかしらねぇ。あなたの素性や人間関係、今日のお夕飯も知ってるかもね」
「へぇ。じゃあ今日の私の晩餐は?」
「まだ食べてない」
「……正解」
「おっと、ここで弾幕勝負をするつもりはないわ。それよりも、あなたは私たちに匿って欲しい理由があるのでしょう? 秘密にしておくから、洗いざらい話しちゃいなさい」
「……随分虫のいい話ね。お金が欲しいのかしら」
 ぬえが睨むと、永琳はフッフと笑みをこぼした。
「要らないわよ。地上のお金なんて持ってても得にならない。私が欲しいのは情報。あなたしか知らない真実を知りたいだけ」
「知ってどうなるのかしら」
「決まってるじゃない。最大限利用するわよ。知らないのなら覚えておきなさい。情報は時に、あらゆる財を凌駕する富となる」
「……教えないと言ったら?」
「然るべき場所に突き返すか、一度眠ってもらってから突き返すかの二択ね」
「……やれやれ。逃げる場所を間違えたかな」
「大丈夫。秘密は固く守られます」
「何の保証にもならないわよ……はぁ」
 溜息をつき、そしてぬえは語りだした。



 彼女は普段、命蓮寺に居るらしい。
 居ると言っても日夜修行に明け暮れているわけではなく、ただ何事もやる気の起きないまま何となくそこに居たそうだ。
 今日もいつものように、少しでも興味の向くものは無いかと寺の周辺をほっつき歩いていたら、茶室の方から騒がしい声が聞こえてきた。
 何事かと思って覗いてみると、何やら馴染みのない人間達と聖白蓮が話し合っており、やがて二人の人間が茶室に押し込められた。
 廊下に残っていた人間が茶室の戸に小さな時計のようなものを取り付けると、その瞬間に茶室からは生き物の気配が消え去ったのだ。
 口には出さないが大層驚いたぬえは、白蓮たちが引き返すと同時に茶室の扉に近寄った。先ほど部屋に詰め込まれた二人が気になったからだ。
 壁に耳を当てても雨の音が聞こえてくるだけで、ノックをしても反応がなかった。茶室の中は密室となっており、この中に誰かが入っているのは確かなのに。
 気味が悪くなったぬえは、扉を開こうと手を掛けるが、鍵も付いていないのに扉はまったく開かない。彼女の得物である槍を使ってこじ開けようとしたが、そもそも槍の先端が溝に引っかからない。扉が壁と一体化したかのようだった。
 その時、後ろから声を掛けた者がいた。
 びっくりして振り返ったぬえだが、そこにいたのは白蓮でも扉を閉めた人間でもなく、ぬえの旧知の仲である化け狸、二ッ岩マミゾウだった。
 彼女に見てもらうと、扉はその小さな時計によって封印されていたことが分かった。
 マミゾウはその封印が、妖術的なものでも科学的なものでもないことに疑問を抱いていたようだが、とにかく時計のスイッチを押したらコロリと外れ、扉は普通に開くようになった。
 中から出てきた二人とまともに会話が成り立つまでは少しの時間を要した。何しろ、彼女たちは部屋に入っていた間の事を覚えていないのか、『もう終わり?』などと拍子抜けた表情で言っていたからだ。
 何とか話が噛み合ってくると、彼女たちは望まぬまま茶室に押し込まれ、無理矢理封印させられたことが分かった。
 その二人はお札のような物で両手の自由を奪われていたため、ぬえとマミゾウに協力を借りながら、命蓮寺を脱出することに成功しのだ。
「……成る程。じゃあその辺にマミゾウって妖怪もいるのね」
「ええ。今は人間に化けて紛れ込んでいるわ」
「逃がした二人は?」
「それがね、ここへ来る途中に攫われちゃったのよ。二人も護衛がいながら迂闊だったわ」
「ふうん……その二人の特徴は?」
「特徴? ええと、片方が緑の長髪で……蛙と蛇の髪飾りを付けてたね。もう一人は青い長髪で、帽子に桃をのってけてた」
「ああ……」
 それだけ言えば十分である。永琳には、そのような稀有な特徴を持つ人物を複数人も知らなかった。
「その子たちはね、多分自分から逃げたのよ」
「逃げた? 安全なところに逃がすって言ったのに?」
「ええ。だって彼女たち、追われてる身でしょう?」
「追われてる……?」
「わざわざ拘束して、逃げられないように封印までしたというのに、第三者に逃がされてるんじゃ世話ないわ。咲夜も詰めが甘いわね」
「咲夜? そいつと知り合いなの?」
「知り合いと言うか……まあ話し始めると長くなるんだけど、この場合あなた達は、二人の脱獄に加担してしまったというわけね」
「なっ……」
 脱獄と言う不穏な単語に、ぬえは驚きを隠せない。
「おそらく彼女たちは、今幻想郷を脅かしている異変を起こした張本人達よ」
「何ですって!?」
 驚愕を露わにするぬえだが、対して永琳は廊下の方に視線をやり、
「……盗み聞きなんてしてないで、中に入ったらどうかしら。マミゾウさん?」
 すると、襖の裏のちょうど死角になっているところから、一人の人間が現れた。
 茶色の長髪で、丸いメガネをかけている。外見から歳は読みづらいが、十代後半から二十代中頃ぐらいに思われる。
 もちろん、彼女こそがぬえの話す二ッ岩マミゾウであるが、人間に化けることで周囲から怪しまれることを防いでいたのだ。
 マミゾウはやや恥ずかしそうに笑って、
「いやはは、何もかもお見通しと言うわけじゃったか」
「生憎、スパイや刺客には慣れているものですからね。この屋敷はそういった類の侵入者を見つけやすい造りになっているのですよ」
 言って、永琳は廊下の奥に掛けられている鏡を見た。有機的な輪郭の鏡は一見骨董品のようにも見えるが、襖の裏に隠れるマミゾウの姿をはっきりと映し出していたのだ。
「ここには人間達もいるし、姿はこのままで失礼するぞい」
「構わないわ。それで……脱獄者が逃げたんでしたよね」
「そうね。本当に一瞬だった。逃げる足音すら聞こえなかったもの」
(足音すら聞こえない……)
 顎に手を当て、永琳は考えた。早苗と天子なら、脱獄できた隙に逃げださないとも限らない。行き先が永遠亭と分かれば尚更だろう。客観的に見て、自分たちは逃げ延びてきた罪人に何も要求せず、ただ匿ってくれるような人たちである筈が無い。
 しかしぬえの言うように、二人も見張りがいながら突然音も無く姿をくらますなどまずあり得ない。何かトリックがあるはずだ。両手を拘束されても逃げられるトリックが。
「ふむ……まああなた方も疲れてるでしょう? 脱獄犯の方は家の兎達に調査させるから、今夜はゆっくり休んでいきなさい」
「かたじけないのう」
 会釈をするマミゾウ。彼女も普段は命蓮寺や魔法の森を住処にしているので、寝床を必要としているのは普通の人間と同じだった。
「誰か来てくれるかしら」
 永琳が声を上げると、ややあって一匹の妖怪兎が現れた。
「何か御用かな?」
 急に大勢の人間が逃げ込んで来た為てんやわんやになっていた永遠亭だが、その妖怪兎――因幡てゐだけは、平時の余裕のある表情だった。どこかに隠れてサボっていたのは明白である。永琳は気にせずぬえを指して、
「そちらの方を客間に案内して。その部屋だけは、他の人間を入れないように頼むわ」
「はいはい。妖怪と人間は一緒にできないしね。そっちの狸も一緒の部屋ですかい?」
「そのつもり、でもまだちょっと話があるから、あとから私が案内するわ」
「りょうかーい。ささ、こっちだよ」
 てゐはぬえの手を取ると、やや強引に引っ張っていった。
 ぴしゃりと襖が閉められると、その部屋には永琳とマミゾウだけが残される。廊下からはまだ人間たちの声がするが、小声であれば室内の話が外に漏れることはないだろう。
「儂にまだ聞きたいことがあるのかのう?」
「ええ。現在、幻想郷が混乱に陥っているのは知ってのとおりですけど、この状況で有利に立ち回るためには少しでも多くの情報が必要でして。ぬえさんには色々お話を伺ったのですが――」
 一泊置き、永琳は人間に擬態しているマミゾウを見て、ニッコリと笑う。マミゾウも自覚があるのか、特に訝しんだりはしなかった。

「――あなたからは、もっと面白い話が聴けそうでしてね」



推理物にもよくある解説パートとなりました。

ここらで未解明要素は殆ど取り払ってしまって、後は勢いでクライマックスを走り切れれば爽快なのでしょうけど、そのためにはもうちょっと解説パートが必要となります。

圧倒的な速度により一瞬で背後を奪い合うような熱いアクションシーンはもうしばらくお待ちください。

さて次回は、脱出した早苗と天子の話です。

本文でも述べられているように、何事かあって二人はぬえとマミゾウを振り切って逃げることに成功しています。

その後二人が向かうところと言えば……自然に考えれば一か所でしょうね。

しかし、冒頭で申し上げましたように、来週は連載をお休みさせていただきます。更新は翌々週となりますが、いつもどおりにご期待いただければ幸いです。
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[ 2013/06/09 19:33 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
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