fc2ブログ

Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

長編「幻想危機」第十一章

心綺楼を一通りプレイしました。

現時点で使いやすそうなのは、白蓮とマミゾウあたりですかね。白蓮は詠唱の練習をする必要がありますが。

とりあえず今はこころが使えるようになるのを待ちたいと思います。素で結構強かったので、ここにスペカが入ったらどうなってしまうのか。早くも自分の中で最強伝説が作り上げられつつあります。

さて本題の小説です。

今回でストーリーはクライマックスへと突入します。

とはいえ、この後すぐ終わるわけではなくまたちょっと説明臭いパートがあったりするのですが、波があった方が面白いかなと言うことで一度デカいのをぶつけています。

この後にももう何度か波があるはずなので、ある意味真のクライマックスはまだ先と言えますね。

前回は監禁された早苗と天子がいなくなっていた所で終わりました。いや正確には美鈴が様子を見に行ったところで終わってましたね。

場面は切り替わり命連寺からスタートです。それではどうぞっ


 白蓮たちが避難の支度を済ませたのと、霊夢たちが命蓮寺にやって来たのはほぼ同時だった。
「早苗と天子が消えた!?」
 話を聞くなり、霊夢は愕然とした声を上げる。
「私たちと一緒に避難させようとしたら、既に茶室はもぬけの殻でした」
「一体誰がそんなことを……っ!」
「この寺に居た誰かじゃないのか?」
「その場にいた者には一通り訊きましたが、知っているものはいないそうです」
 魔理沙の問いに、白蓮は背後に集まっている弟子たちを見やる。
 門前に集うのは、虎丸星、村紗水蜜、雲居一輪、雲山、ナズーリン、幽谷響子、そして古明寺こいしだった。
「ぬえとマミゾウ、あと小傘がいないじゃないの」
「彼女達は普段からいたりいなかったりですからねぇ。今日は一日中見ていませんし、彼女達が解放していったというのは考えにくいですが……」
「そうか? その三人なら誰がやらかしても怪しくないけどな」
 人を信ずることを信条とする白蓮にとって、自分の弟子を疑うことはできなかったのだろう。しかし、ぬえ、マミゾウ、小傘の三人が突然不可解なことをする傾向があるのを、霊夢、魔理沙、咲夜は熟知していた。
「特に怪しいのは……ぬえかしら。あいつを探すところから始めなきゃならないの?」
「まあこちらは三人いるし、手分けをすれば何とかなるんじゃないかしら」
 咲夜が宥めるも、実際に一刻を争う事態なのは変わらない。こうしている間にも、守矢神社で暴走している緋想の剣は何をしだすかわからない。
 そういえばここからあの漏斗雲は見えるのだろうか、と魔理沙が山の方向に目をやった時だった。
「…………」
「うん? どうしたのよ魔理沙……って……」
 ただならぬ様子の二人に、咲夜や他の一同も山の方に注目する。

 ――霊夢たちを沈黙させるに十分な存在感を放つ『それ』は、漏斗雲を突き破るようにして現れた。




 命蓮寺から少し離れたところに建つ博麗神社でも、『それ』は確認できた。
 霊夢と魔理沙がなかなか帰ってこなかったので、勝手に夕食を済ませてしまったアリスと霖之助は、突然強まった雨とともに現れた『それ』を凝視していた。
「あれって……」
 その容姿から一つの可能性に行きついたアリスだが、その名を口にすることはできなかった。
 代わりに霖之助が口を開く。

「あれは……龍、だね」




 龍とは、幻想郷の最高神である。
 天や海や雨の中に住み、幻想郷で大異変が起こったときのみその姿を現す。
 伝え聞いた話によると、太さは樹齢千年の大木を凌駕し、長さは空を覆うほどだという。実際太さはそれぐらいあるかもしれない。長さに関してはやや脚色が入っていたようだが、それでも妖怪の山をぐるりと囲めるほどの長さはある。
 龍の存在は霊夢も魔理沙も知っていたが、実際にこの目で見たことはなかった。
 子供の龍であれば、仙人の茨木華扇に召喚されたのを見たことがある。その時も一時的に猛烈な雨が降り注いだ。
 しかし今は、その瞬間を想起させる雨が幻想郷全体を等しく支配している。
「これは……相当に不味いわね」
 ポツリと呟く霊夢。
「あれはやっぱり、止めた方が良いのかしら」
 咲夜が問うが、その解は霊夢にも、魔理沙にもわからなかった。
 龍は神聖にして侵し難いもの。これは幻想郷に住むすべての人間、妖怪にとっての常識である。
 その龍が、暴走する緋想の剣に反応して舞い降りてきた。これはやはり、緋想の剣が幻想郷に災厄を呼んでいることを意味しているのではないだろうか。
「止めるとすれば龍ではなく剣の方ね。天子がどこかへ行っちゃったから確認を取ることはできないけど、あの剣は破壊する必要があるわ」
「天界のアイテムだよな? ぶっ壊しちまうのは惜しい気もするが……まあ仕方がないか。場合が場合だ」
 苦い顔で首肯する魔理沙。どうやら混乱のどさくさに紛れてくすねるつもりだったらしいが、今となっては叶わぬ夢である。
「動き出すわ」
 咲夜に指摘され、霊夢と魔理沙、それに命蓮寺の面々も注目する。
 しばらく守矢神社上空を泳いでいた龍だが、急に真上へと進路を変えた。鈍色の雨雲に吸い込まれるように昇って行き、完全に姿を隠してしまった。
(消えた……?)
 霊夢の疑問は、一瞬おいて否定されることになる。
 直後。

 眩い閃光が辺り一面を襲い、心臓を鷲掴みにするような轟音が鳴り響いた。

(っ!?)
 雨の音が、止んだ。否、止んだのではない。聞こえなくなった。
「    、       !?」
「   !         !」
 どうやら、一時的に鼓膜がやられてしまったようだ。魔理沙と咲夜が何かを叫んでいるが、霊夢の耳には一切届かない。それどころか、自分の声が相手に届いているかすら疑問だった。
 ふと見ると、星がナズーリンを抱きかかえている。どうやらショックで昏睡状態になってしまったらしい。
「――いんじゃ――か? いつ――――かわ――ん」
「耳が――と、よく――てきて――」
 徐々に聴力が回復してくる。それに比例して、雨の打ちつける音も聞こえるようになってきた。
「――む、――いむっ!」
 聞こえてくるにつれて、何者かが自分を呼んでいるような気がした。否、誰かが呼んでいる。
「霊夢っ! 私の声が届かないのっ!?」
「おわぁ!」
 振り向くと、至近距離まで顔を迫らせた妖怪がいた。
「……紫?」
「やっと気づいたのね。あの『聲』で耳をやられたのかしら」
「ええ……ちょっと聞こえが悪くなってた。今は大丈夫よ」
 いつからそこにいたのかは定かでないが、霊夢を呼び続けていたのは妖怪の賢者、八雲紫である。
 紫は山の方を指差して言った。
「山の方で何があったの? 知りませんとは言わせないわよ」
 その表情はいつになく真剣だった。龍が出てくることなど、幻想郷の存亡に関わる異変が起こらない限りあり得ない。霊夢に意見を聞いてくるあたり、今回は紫にも予測ができなかった事件なのだろうか。
「守矢神社にね、緋想の剣が封印されてたのよ。天子が持ってるあれ。それを奪おうと思って封印を解いたらああなった」
「解いたって、ちゃんとした手順を踏んだ……訳が無いわよね」
「ええ。解き方が分からない以上力押しよ」
「何と言う……いいこと、霊夢。あの剣は幻想郷の仕組みに適応した造りをしてないの。無茶をすれば、取り返しのつかない事故を引き起こすことだってあるのよ」
「適応してない?」
「規格に合ってないと言った方が正しいかしら。幻想郷を構成するあらゆる物は、お互いに干渉し合ったり暴発したりしないように調整されているのよ。そうでないと、思いもしないところから内部崩壊が起こったりするからね」
「崩壊だと?」
 穏やかでない単語に反応して魔理沙が割って入る。咲夜も聞く耳を立てているようだ。
 紫は構わず話を続けた。
「今の幻想郷の形を保っているものは、何か分かるわよね?」
「結界でしょ。博麗大結界ね」
「ええ正解。でもその他にも幻と実体の境界が大きく取り囲んでいるわ。細かいところを見れば、大地と空の境界、水と空気の境界、冥界と顕界の境界、闇と星の境界……数え上げたらきりがないわね。それらをちょっとでも崩されると、馬鹿にならない規模での歪が生じるのよ」
「ああ……つまりそれらを管理してるのがあんたってことね」
「そういうことですわ。まあそれ自体は大した仕事じゃないんだけどね。問題なのは、その『管理された領域』で、想定外な力の暴走があったということなのよ」
「それが、緋想の剣……」
 紫の瞳は、まっすぐに守矢神社をとらえていた。より正確には、そこにある一本の剣を。
「霊夢、あなたの役目よ。……いえもうこの際何人掛かりでもいいわ。あの剣を止めてくること。さもないと、今まであった常識が、すべて失われることになるわ」
「常識と……非常識、ね」
 紫の言わんとすることを理解した霊夢は、魔理沙と咲夜の方に向き直った。
「本気で行くわよ。覚悟はいいかしら」
「ああ、私はいつだって本気だぜ!」
「愚問ね。メイドは常に命がけですわ」
 一瞬の躊躇も無く、二人の仲間は頷いてくれた。霊夢は己の中に、暖かな火が灯されるのを感じた。
「じゃあみんな、行くわよ!」
『おうっ!』



ページの長さの割にセリフが多かったので、案外あっさり読めてしまったかもしれませんね。

ですが中身は非常に濃かったかと思います。

さてこれで物語の行きつく先はハッキリとしました。問題はこれからそこに行くまでの道のりですが。

とりあえずクエストの達成条件が分かっただけでもこの話の意味合いは大きかったと思います。

さて次回は、里の人間が避難した先――永遠亭での話です。

里にどれほどの人がいるかの公式設定はなかったかと思いますが、それでも馬鹿にならない数でしょう。

それだけの人数か押しかけ、果たして永遠亭は大丈夫なのか。そして、人ごみに紛れて屋敷に侵入した妖怪がいた――

と言う訳で次回の更新も一週間後です。ご期待ください。
スポンサーサイト



[ 2013/06/02 19:13 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

プロフィール

Jr.

Author:Jr.
 
Jr.です。

趣味は東方メインですが、デュエマ、ガンプラ、ラノベにアニメと広く浅く楽しんでいるつもりです。

新潟に在住しているので、時折ガタケットや新潟東方祭に参加しています。

Yahoo!知恵袋でも活動中。Myページはこちら


お気に入りのライトノベル

・生徒会の一存
・デート・ア・ライブ
・涼宮ハルヒの憂鬱
・とある魔術の禁書目録
・僕は友達が少ない
・バカとテストと召喚獣
・キノの旅
・学園キノ
・ささみさん@がんばらない
・灼眼のシャナ
・ノーゲーム・ノーライフ

最近見たアニメ

・ジョジョの奇妙な冒険
・ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダース
・進撃の巨人
・デート・ア・ライブ
・ささみさん@がんばらない
・僕は友達が少ないNEXT
・リトルバスターズ!
・リトルバスターズ!~Refrain~
・機動戦士ガンダムUC
・魔法少女まどか☆マギカ
・とある科学の超電磁砲
・とある科学の超電磁砲S
・とある魔術の禁書目録
・とある魔術の禁書目録Ⅱ
・化物語
・偽物語
・猫物語(黒)
・物語シリーズセカンドシーズン
・日常
・Steins;Gate
・Robotics;Notes
・ストライク・ザ・ブラッド
・ノーゲーム・ノーライフ
・まおゆう魔王勇者
・Fate/zero
・Fate/staynight[Unlimited Blade Works]

ブロとも申請フォーム