Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

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長編「幻想危機」第十章

例大祭が終わり、新作の情報が続々と出てきましたね。

何しろ心綺楼と輝針城体験版の同時頒布ですし、新キャラも3人追加になりましたし。俄かに盛り上がりを見せています。

これに関して、もしかしたら別に記事を書くかもしれませんがとりあえず今は小説のアップを。

今のペースで上げ続けると、たぶん6月中は厳しいかなと言う気もしてきました。

ちょっと上げるペースを加速させるか、一度の更新で公開する文量を増やすか。まあ何とかしてリアル梅雨までには間に合わせたいです。

さて前回は、緋想の剣の封印を強引に解いたらなんだかヤバそうなことになったところで終わりました。

今回はそれと同じ時間軸、幻想郷に起こった変化を同時に観測していた人物がメインです。

先週は命連寺とお伝えしましたが、それにおまけでもう1シーン追加しています。詳しくは本編にて、どうぞっ


 時をほぼ同じくして、山からある程度離れた人間の里でも変化が起こっており、命蓮寺の妖怪、雲居一輪はその変化を誰よりも正確に読み取っていた。
(急に雨が強くなった……ここ数日は天気が悪かったけど、こんな急変は見たことが無い……)
 寺をぐるりと取り囲む廊下の窓をわずかに開け、その隙間から打ちつけてくる雨に目を細めながら外の様子を見る。
 先ほど――夕食の最中に来客があり、この雨を降らせた犯人を茶室に閉じ込めたのだそうだ。響子から伝え聞いただけなので詳細は分からないが、一輪の良く知る白蓮はそのようなことをする人物ではない。また、そのことについて白蓮は口を開いてくれなかった。
(この幻想郷で、何が起こっているの……?)
 胸の内で燻る悪い予感に喉が詰まる錯覚を覚える。気を紛らわせるため、すぐ脇に控えている“相棒”にも相談する。
「どう思う? 雲山」
 雲山と呼ばれた相棒は考え込む。
 雲山は入道である。かつては見越し入道として人を襲っていたが、今は一輪のよき理解者だ。
「え、山? ……うーん、ここからじゃ見えないけど、この雨雲って山から来てるんだ」
 曰く、この雲は人工物であるそうだ。しかもかなり強力な力によって生み出されており、その中心点は妖怪の山頂上付近にあると言う。
「それにしても……また強くなってるわね。ちょっとこの降り方は尋常じゃないかも……」
 舗装のされていない道は既に泥水に覆われており、排水設備もまともに働いていないようだ。道端の細い溝からはボコボコと水が湧きあがって、既に限界であることを示している。
(これは姐さんに伝えた方が……)
 このまま水かさが上がれば、命蓮寺も浸水してくるだろう。もし避難をするのであれば、少しでも早い方が良い。
 その旨を白蓮に伝えようと歩き出した時、出入り口の方からバタバタと慌ただしい音が聞こえた。
(……何かしら)
 一輪の中でわだかまっていた不安が一層強くなる。急ぎ足で音のする方へ向かうと、そこにはナズーリンがいた。
 命蓮寺で白蓮の次に位の高い僧である虎丸星の目付け役であるが、普段は何かと寺の外にいることが多い。今日も外出していたが夕食の時には寺にいたので、食後に雨の様子を調べに行ったのだろう。
「何事ですか」
 一輪とは反対方向から白蓮が出てきて、文字通り濡れ鼠となったナズーリンに訊く。
「短時間に大量の雨が降ったからだろうね、川から水が溢れている。程なくここも浸水するだろう」
「なんと……ここは水に浸かりにくい立地のはずでしたけどねぇ」
「実際水が迫ってるんだからしょうがない。それにもし堤防が崩れたら、それこそ堰を切ったかのように水が押し寄せてくる。避難をお勧めするよ」
「姐さん!」
 一輪は二人が話している出入り口へ駆け寄り、自ら帰依する主君を呼ぶ。
「あら一輪。……話は聞いていましたね。それならあなたがやるべきことは決まっているはず」
「えっと、その、命蓮寺は沈んでしまうんですか!?」
 自分が一番気になってくることを聞く。
「それは判りません。ですが、もっと優先することが――里の人々を避難させなければなりません。あなたとナズーリンで、一刻も早く人々に伝えてください。高台に避難するようにと」
「っ……」
 その言葉に、一輪はやや圧倒されていた。
 非常事態になった今、白蓮が真っ先に守ろうとしているのは人間たちである。対して一輪はと言えば、自分が逃げることしか考えていなかった。
「どうしましたか、一輪。その躊躇が被害を一層拡大させます。――急ぎなさい」
「……はいっ」
 最後の一言で、白蓮の表情が確かに変化する。普段の穏やかな様子からは予想もできないその真剣な顔は、一輪を傘も持たずに飛び出させるには十分な迫力だった。後ろから付いてきたナズーリンが、「おー怖……」などと呟いているが、一輪の耳には入ってこなかった。



 一輪たちが飛び出していった外界を見る白蓮。強過ぎる雨は路面を冠水させていたが、まだ川水が流れ込むには至っていない。しかしそれも時間の問題だろう。
(しかし……本当に彼女たちが主犯なのでしょうか……)
 白蓮には、この雨が天子たちによるものであるとは到底思えなかった。どんな思惑があるかは知らないが、こんな勢いで降らせては最悪幻想郷が壊滅してしまう。
 天子はともかく、早苗たち守矢神社にとって幻想郷の人間は重要な顧客である。それを窮地に陥れる必要性が感じられない。
(……っ、まさか……)
 一つの可能性が頭をよぎる。
 数年前の冬の事である。八坂神奈子と洩矢諏訪子、そして東風谷早苗の三人は、妖怪の山の麓にダムの建設を計画したことがあった。
 治水事業の他に、ダム湖に拠点を設けることでさらに信仰を拡大するのが目的だったと伝え聞いている。
 その計画自体は、下請けの河童達のいい加減な作業により頓挫してしまったが、それでは彼女らが諦める理由にはなっていないのも事実だ。
 そして、幻想郷の住民にダムの有用性を知らしめる為水害を起こしたとすれば――
(それで、全部説明が付いてしまう……)
 ハッと目を見開く。一方的に他者を悪人扱いする発想には気が引けるが、一番しっくりくる理由だった。
(確かにダムは人々の役に立つけれど……そんなやり方が、許される筈が無いっ!)
 これは本格的に、解放したらお灸を据えてやらねばならないなと思う白蓮だったが、
(解放……そうだ、非難するなら彼女たちを解放しなければ)
 茶室では早苗と天子が監禁(?)されている。密室ではあるが、浸水の度合いによってはストップウオッチが壊されかねない。すると、彼女たちの時間は濁流に呑みこまれる寸前で『始まって』しまう。
(古来より火事や災害時には一時釈放するのが習わし……咲夜さんには悪いですが、命あっての更生ですゆえ)
 茶室へと足を運ぶ。しかし、廊下の角を曲がった時、白蓮は己の目を疑った。

(茶室の戸が……開いている?)




 白玉楼にて夕食を済ませたレミリアは、再び庭園を徘徊していた。咲夜は異変解決のため顕界へ行ってしまったので、代わりに紅美鈴が付き添っている。
「咲夜はちゃんと仕事を済ませたんだろうかね」
「さあ……どうでしょう。ここからはあちらの様子が窺えないですからね。でも、咲夜さんなら上手くやっていると思いますよ」
 躊躇いなく答える美鈴。
「言い切るね。その根拠は?」
「根拠と言うほどのものではないですが……これでも同僚ですからね。何となくの直感です」
「そうかい。私は……まあ咲夜を信用しない訳じゃないけど、必ずしも上手くいってるとは断定できないね」
「何故ですか?」
「今回の異変、ちょっといつもと性質が違う気がするのよ。こう……それこそ本質的な部分で」
「? 守矢神社が私たちを狙って雨を降らせたんじゃないんですか?」
「もちろんそう捉えることもできる。だけど、別の視点から見据えることで、この異変はもっと大きなものになる」
「成る程……」
「確認しに行くこともできるんだけどね。やっぱりあの雨の中を彷徨うのは気が進まないわ」
 ふと本殿を見ると、赤と黄色のレインコートが干されている。ここに来る道中、スカーレット姉妹を雨から守っていたものだ。
 そして、その本殿からやってくる二つの影があった。そのうち背の低い方が、こちらに気付いて手を振る。
「お姉さまー」
「ん? ああ、フランか」
 やって来たのはフランドール・スカーレットと、その付き添いをしているパチュリー・ノーレッジだ。
「お姉さま下界行くの? 私ちょっと見てみたいかも」
「うーん、確かに気になるんだけどね。ほら、この雨じゃない。私らが出るには向かないわけよ」
「そっか」
「あのぅ……」
 おずおずと挙手をしたのは美鈴だ。
「顕界の様子なら、私が見てきましょうか? 雨には耐性ありますし」
「ああ、私も今頼もうと思ってたんだ。それなら不都合はないわ」
「本当に思ってたのかなぁ?」
 フランドールの疑問に答える者はおらず、美鈴の単独立候補によって決断が下された。
「それでは行ってきます。パチュリー様、あとをよろしくお願いしますね」
「早めに帰って来るのよ。二人分の世話は大変なんだから」
「余裕があったらあの忌まわしい神様風情をギャフンと言わせてやりなさい」
「お土産買ってきてねー」
 三者三様の見送りを受け、美鈴は顕界へと戻っていった。
(また、つまらぬ役を買ってしまった……)
 ようやく服が乾いてきたところでまた濡らさなければならない。従者の身とはいえ、立てつづけに降りかかる災難にほとほと気の滅入る美鈴なのである。



ちょっと長めの第十章でした。

最後のシーン、冥界入りした紅魔館勢は、正直本当におまけでしかありません。

この後美鈴が悪の根源と壮絶なバトルを繰り広げ……なんて展開にはなりませんのであしからず。うん、多分ならないはず。

しかも美鈴が冥界を飛び出したきり、それ以上彼女が登場する予定はないんですよね。少なくとも、もう何話か先まで書いている現状では。

流石にこのまま収穫もなく忘れ去られるのもアレですし、だからと言ってすべてが解決した後とぼとぼ帰ってくるオチ役もなんだかなと言う。

ちょっと面倒なシーンを書いてしまいました。収集が大変だ。

さて次回は、早苗と天子を追ってきた霊夢たちが命連寺に到着します。しかしそこで知った真実とは――ってどうなるかはもうこの回に書いてありましたね。

しかし、それ以外にも物語が大きく転換する大事な回となります。

次回の更新は一週間後。ご期待ください。
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[ 2013/05/26 19:58 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
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