Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

長編「幻想危機」第七章

端午の節句に合わせた短編を書こうかと企んだことがありますが、やっぱり長編の見通しが立たないのでやめました。

これも6月中ぐらいには終わらせたいところですが……

さて前回は、霊夢と魔理沙を裏切っていた早苗と天使を粛清したところで終わっています。

……こうしてあらすじを書くと、この話は結構殺伐としているのかもしれません。

あくまでストーリーを盛り上げるためにシリアスっぽく書いているだけであり、その実はいつもの異変解決とあまり変わらないはずです。

キャラ達がスペルカードルールにのっとっているのがその証拠です。本気でやり合ったら……ねぇ?

そんなわけで形の上だけシリアスに進んでいますが、騙されたと思ってその空気に乗ってみてください。小説は気楽に読むことで真価を発揮するものだと思います。

それでは本編は続きから。どうぞっ


 幻想郷に住む人間の大半は、ここ人間の里で暮らしている。一見華やかな街のようにも見えるが、妖怪によって統治されている土地においては、支配下にある人間を格納・管理するための檻であるとも言える。
 しかし当の人間たちはそんな事情などお構いなしで、各々が思い思いに里での暮らしを満喫しているのだ。
 そんな人間の里にも大雨が降っているが、直接浸水したりといった被害は出ていなかった。優れた性能のポンプが埋めてあるとか、地中を通る無数の管が川まで繋がっているとか、人々の間では様々な憶測が飛び交っているが、道端の溝に吸い込まれていく雨水がどこに向かうかなど知る由はないのだった。
「命蓮寺……私は行ったことがなかったわね」
 手の動きを封じられた早苗を連れながら、咲夜は目的地の名を口にした。咲夜の疑問に対し魔理沙は、
「お前が出家するなんてのは想像できないな。まあ尼になったメイドってのも見てみたいが」
「お嬢様方のお世話ををする人がいなくなるし、それなら生涯仏門と縁が無くても後悔はないわ」
「まあ、お前はそういうやつだよな」
 強いなぁ、と心の中で呟く。好きでやっているのかもしれないが、メイドと言う職にここまで信念を持てる人間もそういない。
 いったい何が咲夜をここまで惹き付けるんだろうか、と考えるが、それ以前に咲夜は何故紅魔館でメイドをしているのかを魔理沙は知らなかった。
「なあ咲夜、何だってお前はそこまでレミリア達の為に仕えようとするんだ?」
「はい?」
「あっそれは私も興味があります」
 ずっと俯いていた早苗が急に声を上げるが、魔理沙も咲夜もそちらには目もくれなかった。
「私がお嬢様にお仕えする理由……さあ、何故かしらね」
「何故って、咲夜が一番よく知ってるんじゃないのか?」
「そうとも限らないわ。私がお仕えするのは『運命』だったのかもしれない」
「運命? ……ああ、レミリアの能力か。勝手に運命を書き換えられてメイドにされたと。随分アイツらしいと言うか、相変わらず横暴なんだな」
「ふふ。あなたはお嬢様の力を過小評価しすぎているのではないかしら」
「……どういうことだ?」
「私は私がメイドであることに、これっぽっちも疑問を抱いていない。まして不満に思うことなどあり得ない。私にはメイドが天職だと思ってるけど、そう私に思わせることすらお嬢様は意のままに操れる」
「なっ……」
 魔理沙が驚いたように眉根を寄せる。
「つまりは私がメイドであることが自然であるという状況すら、お嬢様は作り出したのよ。それに、あなたが魔法使いであることも、霊夢が巫女であることも、全てはお嬢様が作り出した運命なのかもしれないわ」
「ま……待て、話のスケールが大きすぎやしないか。あいつはそんな神様みたいなことを平然とやってのけるのか?」
「それがお嬢様の能力よ。運命を操るということは、すなわちこの世の全ての物を操ることと同義。つまりこの世界、少なくとも幻想郷の中では、お嬢様に敵う者はいないのよ」
「うーん、そうなのか? 私はあいつに勝ったことがあるんだが……」
「それは弾幕勝負での話でしょ? きっとお嬢様は、遊びを遊びとして楽しむために、敢えて運命を操作しなかったのよ」
「まあ、確かに。私が同じ力を持っていたとして、それを余興にまで持ち込むつもりはないな。多分面白くなくなる」
 顎に手を添えながら納得したように頷く魔理沙。
「この世界が無限に続く長い廊下で、私達はそこを過去から未来へ歩いているとすれば、お嬢様はその廊下の形を自在に変化させることができる。左右に曲げれば運命が捻じ曲がるし、通路を狭めることでより精密に運命を決定できる。廊下を行き止まりにしてしまえば――この世のあらゆる運命をなくし、世界を立ち往生させることもできる」
「……あいつの能力って、そんなヤバい物だったのか……」
「ま、それが私の仮説なんだけどね」
「仮説かよ! その出来過ぎた設定、仮説だったのかよ!」
「ある程度裏が取れないと仮説も成立しないじゃない。こうだとしたら、今の状況に説明がつくってだけで、本当の答えなんて知らないわ」
「なんてこった……ほぼ信じかけてたぜ……」
「まあでも、私の運命が操られてここにいるってのは事実。私の過去は、今の運命と辻褄が合うようにすべて書き換えられたのよ」
「……うーむ。そういうものなのか」
「あら、件のお寺が見えてきたわ」
 咲夜が前方を指し示す。そこには、最近建ったばかりの新しげな寺が雨に打たれていた。
 普段は門前で修行僧(妖怪)が掃除でもしているのだが、流石にこの天気では誰もいない。よって、勝手に門を潜らせてもらうことにした。



 靴を脱いですぐの空間には、豪奢な仏像が佇んでいる。長ったらしくて魔理沙には覚えていられないような名前が付けられているが、外から流れ込んできた仏像だと過去に聞いている。
「おーい、誰かいるだろー!」
 魔理沙が酔い潰れて自宅に帰った亭主のような声を上げると、やがて奥から人影がやって来た。
「おや、あんたはいつぞやの魔法使い。出家希望かな?」
 現れたのは、山彦の妖怪である幽谷響子。口の脇に米粒を付けているところを見ると、どうやら夕食の真っ最中だったようだ。
「出家の予定はないんだが……こいつらをちょっと泊めておいてほしいんだ」
 言って、後ろに待機している早苗と天子を指差す。早苗は悲しそうなふりをしているし、天子は憮然とした態度を貫いている。
「泊める? て言うかその人たち腕縛られてるじゃん。どうしたの?」
 早苗の天子の腕に張られたお札を指し示す響子。
「こいつらは放水魔なんだ。ここ数日の大雨を降らせた張本人だよ。私らはまだやることが残ってるんで、ひとまず身柄を預かってほしいんだが……」
「うーん。ちょっと待っててね」
 響子は踵を返し、急ぎ足で奥の部屋へと入っていった。
 ややあって、今度は別の人物が姿を現す。
「お待たせしました。保護してほしい人がいるとのことでしたよね」
 響子とは違い丁寧な口調で対応してくれたのは、命蓮寺の和尚、聖白蓮。
「保護って言うか何と言うか……まあ保護みたいなもんだ。後ろの二人が余計なことをできないよう見張っててくれってこと」
「見張る? ……つまり監禁しろと仰るのですか?」
 驚きに眉を吊り上げる白蓮。響子からは正確に話が伝わっていなかったようだ。そこへ咲夜が割って入る。
「ここ数日大雨が続きましてね。この辺は大丈夫みたいですけど、湖の周辺なんてすっかり水没してしまって。で、その雨を降らせたのがこの連中だから、ひとまず身柄を預かってほしいというわけです」
「ああ、つまりその方々にここで修行してもらい、我々は彼女たちが正しい道へと進めるためのお手伝いを――」
「――いや、そんな面倒なことはなしでいい」
 魔理沙が口を挟む。
「ちょっとの間こいつらの身動きが取れなくなる場所を提供してくれればいいというわけだ」
 それを聞き、ムッとした表情を作る白蓮。
「申し訳ありませんが、それは承れません。私達の寺は監獄ではありませんゆえ」
「そんな、ちょっとぐらい良いじゃないか。減るもんじゃあるまいし」
 なおも食って掛かろうとする魔理沙を、咲夜が手で制す。
「身勝手なお願いであることは承知の上ですわ。でも、この異変を完全に解決するまでは彼女らに余計なことをされたくないのです。また、解決の暁には彼女らを是非正しい道へと導いていただきたくもあり、こちらにお願いに上がったのですが……」
 咲夜が交渉をする様子を、魔理沙は黙ってみていた。従者と言う役職上目上に対する接し方は慣れているのだろうが、こうしていると魔理沙は自分がやたら幼稚な人間に思えてきて、少し恥ずかしくなる。
「なるほど……罪を犯した人を改めさせるのは我々の務めですが、その過程とは言え監禁と言うのはちょっと……」
 魔理沙がふと後ろを振り向くと、相変わらず俯いたままの天子と、何故か居心地が悪そうに周囲へ目線を飛ばしている早苗がいる。
(ああ、あいつはここへ来たことがあったんだったな。それは居心地も悪かろう……ププッ)
 早苗はかつて、異変解決のために響子や白蓮とも一戦交えている。それが今度は犯罪者として送り付けられたのだから、いくら白蓮が寛容な和尚とは言え、何か思うところはあるのだろう。
「ご安心を。監禁と言う事実を作らずに監禁する方法があるんですよ」
「監禁をしないで監禁……言葉遊びの類ですか?」
「いえ、極めて現実的な話です。和尚様には、一時的に密封できる部屋を用意して頂ければ結構です」
「……? それは可能ですが……一体何をするおつもりで?」
「それは見てのお楽しみです。案内して頂けますか?」
「はあ……場合によっては承諾しかねますからね」
 念を押したところで、白蓮は奥の通路へと歩きだした。咲夜、魔理沙、早苗、天子の四人も後に続く。



「この茶室なら、出入り口を封じることで密閉できますが」
 白蓮が案内したのは、寺の隅に位置する茶室だった。客人の応接の為にあるそうだが、普段は使われていない。
 出入り口は腰ほどの高さしかなく、必然的に頭を下げて入ることになる。それが茶道における心構えの基本につながるそうだ。
 咲夜が腰を曲げて部屋をのぞきこむ。広さは三畳ほどしかなく、窓はない。あるのは茶道具一式と、申し訳程度に飾られた一輪の花だけだ。
「十分です。さて、あんた達、とっとと入りなさい」
 咲夜が早苗と天子を無理矢理気味に押し込む。両手の自由がきかないためかなり無理な体勢を強いられるが、何とか転がり込むようにして二人が中へ入った。
「しばらくここで反省するよーに」
 言って、咲夜はピシャンと戸を閉める。そして、メイド服のポケットから小さい懐中時計のようなものを取り出した。
 否――正確にはストップウオッチである。閉まった戸にあてがうと、磁石のようにピッタリとくっついた。
「それじゃ、お休みなさい」
 スイッチを入れると、ストップウオッチの針は目まぐるしい勢いで回転を始めた。咲夜は心配そうにする白蓮の方に振り返り、
「これでこの茶室の時間は凍結されました。ストップウオッチを解除するまでこのままです」
「ふむ……確かに、本人達にとっては監禁になっていないですね。ですが我々からすれば――」
「――まあいいじゃないか。あいつらにすれば一瞬部屋に押し込められただけなんだから。何日放置しても体感時間は十秒だぜ」
「……分かりました。それでは、封印を解いてよい頃合いになったらご連絡をお願いしますね」
「了解だぜ」
 何とか二人の拘束を済ませた魔理沙と咲夜は、霊夢がいる守矢神社へと向かう。見送りを済ませた白蓮も、再び夕食の席へと帰っていった。

 しかし――この三人は気付いていなかったのだ。茶室を封印する、その一部始終を目撃していた妖怪がいたことに。




命連寺パートでした。

まだ人間の里には大雨の被害は出ていません。その為、前回よりやや軽い雰囲気になっていますね。

通して読む場合、ちょっとした息抜きになればいいなと思いました。

一応今回Winキャラコンプを目指しているのですが、たぶん無理でしょうね。話の流れから絶対出なさそうなキャラもいますし。四季映姫とか。

前回三人が別れたところで終わり、今回は魔理沙と咲夜がメインだったので、次は霊夢がメインです。

憤怒の形相で守矢神社に帰還する霊夢。ここから神奈子、諏訪子への逆襲がはじまるか――!?

更新は来週です。ご期待ください。
スポンサーサイト
[ 2013/05/06 13:45 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

プロフィール

Jr.

Author:Jr.
 
Jr.です。

趣味は東方メインですが、デュエマ、ガンプラ、ラノベにアニメと広く浅く楽しんでいるつもりです。

新潟に在住しているので、時折ガタケットや新潟東方祭に参加しています。

Yahoo!知恵袋でも活動中。Myページはこちら


お気に入りのライトノベル

・生徒会の一存
・デート・ア・ライブ
・涼宮ハルヒの憂鬱
・とある魔術の禁書目録
・僕は友達が少ない
・バカとテストと召喚獣
・キノの旅
・学園キノ
・ささみさん@がんばらない
・灼眼のシャナ
・ノーゲーム・ノーライフ

最近見たアニメ

・ジョジョの奇妙な冒険
・ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダース
・進撃の巨人
・デート・ア・ライブ
・ささみさん@がんばらない
・僕は友達が少ないNEXT
・リトルバスターズ!
・リトルバスターズ!~Refrain~
・機動戦士ガンダムUC
・魔法少女まどか☆マギカ
・とある科学の超電磁砲
・とある科学の超電磁砲S
・とある魔術の禁書目録
・とある魔術の禁書目録Ⅱ
・化物語
・偽物語
・猫物語(黒)
・物語シリーズセカンドシーズン
・日常
・Steins;Gate
・Robotics;Notes
・ストライク・ザ・ブラッド
・ノーゲーム・ノーライフ
・まおゆう魔王勇者
・Fate/zero
・Fate/staynight[Unlimited Blade Works]

ブロとも申請フォーム


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。