Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

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長編「幻想危機」第二章

ちょっと間が空きましたが連載中の小説をアップです。

ちなみにこちらは「東方創想話」に投稿した作品なので、事実上転載という形になっています。

これは創想話の方の決まりで「転載作品は投稿できない」という物があるため、あちらに先に投稿する必要があったのです。

また、創想話はある程度書きためて投稿したほうが良いことも最近分かったので、あちらでは今回の更新分よりもうちょっと先まで掲載しています。気になる方は是非どうぞ。

こちらはこちらのペースで更新していきましょう。それでは本編は続きからです。


 わずかに時はさかのぼり、魔理沙が最初に博麗神社に来ていたころ。霧の湖ではすでに異変が起こっていた。
「…………」
 湖の畔に静かに佇む紅い洋館、紅魔館。吸血鬼が住まうこの屋敷は、それゆえに窓の少ない造りとなっている。
 その僅かな窓から外の様子を窺っているのは、紅魔館が誇る知識人、パチュリー・ノーレッジだった。
 彼女は窓の外に広がる霧の湖、特に川から湖へと水が注ぎ込まれるただ一点をじっと見つめていた。
(この降り方では……いずれ溢れ出すかもしれない)
 湖は平生よりも目に見えて増水している。岸部だった所は既に浸水して、もっと近くまで水が押し寄せている。
 実のところ、ちょっと強い雨が降る度にこの湖はすぐに増水していた。そのため、パチュリーが注目しているのは水の量ではない。
 増水の速度。今は治まっているようだが、先程までは、見る見るうちに水かさが増えていった。
 水の色。川から流れ込んでくる水は、土砂を多く含んで黄土色をしている。川の水が山肌を大きく削っている証拠だ。
 嫌な予感がパチュリーの脳裏をよぎる。今はまだ昼間で、屋敷の主人たちはご就寝中である。万が一の場合、とっさに逃げることができるのだろうか。
(……やっぱり、急ぐに越したことはないかしら)
 窓から離れ、メイド長の咲夜に伝えることを伝えようと歩き出したまさにその時、

――ドドドドドド……

「っ!」
 窓の方に振り返る。土砂崩れのような、岩やら木やらが崩れている轟音が鳴り響く。
 そこまで大きな音ではなく、しかも雨に掻き消されてほとんど聞こえなかったが、確かに彼女の耳には届いていた。
(思っていたよりも、早いっ……!)
 音の聞こえた方角から察するに、妖怪の山だろう。直接土砂が屋敷を襲うとは思えないが、他にもっと懸念されることがある。
 今まで増水の勢いが弱まっていたのはなぜか。それは、土砂や倒木が水の行く手を阻んでいたからだ。そこに水は溜まっていき、天然のダムを形成する。
 天然ダムはある程度水を抱え込んだのち、一気に崩壊する。すると、最初の増水とは比べ物にならない勢いで水が押し寄せてくるのだ。
「くっ……!」
 今度こそ走り出し、咲夜のいる厨房へ急ぐ。
 咲夜から各メイド妖精に避難の指示を出させなければならない。否、何より優先させるべきは吸血鬼姉妹の保護だろうか。
 長い廊下を走り、なかば飛び込むように厨房へ入る。まだ事の急を知らない咲夜は目をぱちくりさせ、
「パチュリー様? そのように慌てていかがなさいましたか?」
「咲夜、すぐに避難の指示を。間もなくこの屋敷は浸水する」
「……なんですって?」
 すぐには状況を呑みこめない咲夜。しかし、簡単に説明するとようやく理解してくれた。
「解りました。まずはお嬢様方の避難を最優先に、我々も後に続いて脱出しましょう」
 そう言って、手近なメイド妖精に声を掛ける。その妖精は咲夜から説明を受けると、顔を真っ青にして厨房を飛び出していった。
 主人の安全を確保するのは従者として当然であるが、それに加えてここの屋敷の主人はどちらも水に弱い。真っ先に避難させないといけないのだ。
「私はお嬢様たちを避難させます。パチュリー様も急ぎ御支度を」
「分かってるわよ」
 お互い小さく頷くと、咲夜は瞬間的に消えてしまった。彼女の能力で時間を止め、主人のもとへと急いだのだろう。
 彼女の能力では自分以外の者に干渉することができない。そのため、吸血鬼姉妹には自分の足で避難してもらうしかないのだ。
(まあ、咲夜がいれば安心ね)
 とりあえずそちらの心配はもう必要ないだろう。あとは自分の事だ。
 パチュリーは自分の居場所、地下にある図書室へと向かう。そこは普段からあまりメイドの出入りも無いので、まだ情報は行き渡っていないだろう。
 十万冊を超える書物をみすみす駄目にするわけにはいかない。司書と協力して、本棚に耐水性の魔法をかける必要があるのだ。



「ちょっと何なのよこの有様は!」
 図書室の扉を開き、真っ先に飛び込んできた光景にパチュリーは悲鳴を上げざるを得なかった。
 何冊もの魔導書が本棚から抜き取られ、床に散乱している。空き巣に入られたらしい。
 本棚を耐水加工する前に、これらの魔道書を本棚に戻さなければならない。本棚からはみ出た本はずぶ濡れになって使い物にならなくなるだろう。いかに強力な魔法を掲載していても、魔導書自体は紙にインクで書かれた媒体でしかないのだ。
「申し訳ありません、私が少し目を離した隙に……」
「懺悔なんて後で嫌ってほど言わせてやるから、今は本を片付けなさい!」
「は、はいっ!」
 この図書館の司書をしている小悪魔は、日頃から注意力が散漫しているのか、よく空き巣に入られる。もっとも、入ってくる空き巣もかなり強引気味に入って来るので、気付いたところで止めることはできないだろうが。
「ったく……また魔理沙かしら」
「あ、いえ。今日は魔理沙さんではなく、三妖精の方でして……」
「知ってるのなら何故止めないのよ!」
「ひぅ!」
 涙目になりながら落ちている本を拾い集める司書。もっとも、あのわんぱくな三妖精がズカズカと来襲したのであれば、内気なこの司書では口も挟めなかったのだろう。その様子が鮮明に想像できてしまい、パチュリーは溜息をついた。
「とにかく、順番とか向きとか気にしなくていいから本棚に突っ込んでいって」
「はいっ!」



「あー、間一髪だったわ」
 滝のように降り続ける雨の中、ぜえぜえと荒い息をしながらしゃがむパチュリー。隣で傘を開いている小悪魔もゲホゲホと咳き込んでいる。
 彼女たちが全ての本棚に魔法を掛け終わる頃には、もう図書室の床は水浸しになっていた。今頃は完全に水の底だろう。
 屋敷の住人達は皆屋上に集まっていた。大半の者は傘を差しているのに対し、レミリアは赤いレインコートに身を包んでいる。この方が動きやすいらしい。
「でもやっぱり居心地が悪いわ。早いところどこかに避難するわよ」
 咲夜に指示するレミリアの表情からは、明らかな疲労が窺える。普段雨の日は決して外に出ない吸血鬼姉妹だが、その理由を改めて分からせる疲れっぷりだ。
 咲夜は顎に指を当てて少し考え、
「やはり近場で屋根のあるところと言えば、あそこでしょうかね」
 東の方角にポツリと見える、神社の屋根を指差して言った。
「ねぇねぇ咲夜」
「何でしょう? フランドール様」
 姉とは色違いの黄色いレインコートから指がはみ出ないように袖口を伸ばしながら、フランドールが訪ねる。

「美鈴はどうしたの?」

「…………」
 無言で、辺りを見渡す咲夜。レインコートのポケットに手を入れるレミリアに、二人で一つの傘を使っているパチュリーと小悪魔。メイド妖精達を数えるのは億劫だが、こちらは多少少なくてもそれほど問題ではない。
 いつも正門で番をしている紅美鈴がいなかった。
「ええと……正門でしょうか……ちょっと探してきますねっ……」
 いそいそと階段へ向かう咲夜。
「やっぱり忘れてたんだね……」
 やや冷たい目でその後姿を見るフランドール。美鈴がずぶ濡れになって戻ってきたのは、それから間もなくのことだった。




先述の通り、ある程度先まで書いてからキリの良いところで切ったので、長さがいつもよりずれているかもしれませんね。ご了承ください。

霧の湖は妖怪の山から流れている川からできているというのが公式設定なので、幻想郷の中では比較的土地の低い場所であることが分かります。

そのすぐわきに建っている紅魔館は、魔法の森よりも先に被害に遭うのではないかというのが私の予想です。

ちなみに魔法の森は湿度が高いという設定がありますので、これは湖のすぐ近くにあり、湿地帯のようになっているのではないかと思われます。

こちらも霧の湖が溢れるとすぐに浸水が始まるでしょう。

さて、この作品はまだまだ続きます。というかまだ序の口です。気長に連載していくつもりですので、気長にお付き合いいただければ幸いです。

次回の更新も一週間後を予定しています。でもその前に東方祭ですね。そちらのレポートもするつもりなので、ご期待ください。
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[ 2013/03/29 09:55 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
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