Jr.の東方小説ブログ

新潟在住の東方ファンが自筆小説を公開するブログです。 週一程度の公開を予定しています。あとは徒然なるままに雑談でも。 ニ、三日に一度更新出来たら理想ですね。

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長編「幻想危機」第一章

週中ですが小説一本書けたのでアップします。

今回は長編です。おそらく一番最初にアップした長編と同等か、それ以上の長さになる可能性も。

この話は自然災害がメインテーマです。まあ自然災害と言っても、原因をたどれば人災になるんですよね。幻想郷の場合。

梅雨の季節に雨が降ることは珍しくありませんが、それも降り続ければ自然災害となります。

幻想郷の梅雨は、ちょっとばかり雨が多いようです。今回は、そんな話。



 梅の雨と書いて何故『梅雨』と読むのか。誰しも一度は考えたことがあるのではなかろうか。
 梅雨がこう呼ばれる所以にはいくつかの説があり、まずもっとも解りやすいのが、梅の実が熟す季節の雨だからというものだ。
 それ以外では、『ばいう』の呼び方が『黴雨』、つまり黴の生えやすい雨を意味していて、そこから転じたというものや、『毎日のように降る雨』の『毎』が『梅』に変わったという説もある。
 どの説も間違いではないが、しかし元を辿れば必ず理由は一つに収束する。他の説は後付けされたものということになるだろう。
 しかし、幻想郷の東に位置する神社、博麗神社の巫女である博麗霊夢には、梅雨の由来が如何なるものかなど正直どうでもよかった。
「うだー、こう毎日降り続けると、冷えたサウナにでも閉じ込められた気分だわ」
 縁側に腰を掛けて居た霊夢は、そのまま後方に倒れこむ。ジトジトとした湿気が床から髪へまとわり付いてきてかなり気持ち悪い。
 とある水無月の昼下がり、神社の縁側は屋根に隠れて雨が当たらないが、梅雨独特の湿気は確実に彼女へダメージを与えていた。
 彼女の隣に腰かけている、もう一人の少女が口を開く。
「冷えたサウナは単なる湿気た密室だぜ。茸が良く育つ」
 もうすぐ夏になるのに真っ黒な帽子を一向に手放そうとしないモノクロ魔法使い、霧雨魔理沙は薄ら笑いを浮かべていた。
「湿気た密室、まさに今の状態じゃない。私たちはこの縁側という密室から外に出ることはできないのよ」
「まあたしかに、そう言っちゃあ間違いではないな。この密室からどうやって抜け出し森の自宅に帰るか、脱出ゲームの始まりだぜ」
「あんたはこの季節でもテンション変わらないのね」
「まあな。ここの湿度なんざ森に比べちゃ微々たるもんだし、雨が降っている以外は通常営業だぜ」
 魔理沙の自宅は『魔法の森』にあり、その森は一年中ジメジメしていることで知られている。湿度の面で言えば、魔法の森は年中梅雨なのだ。
「じゃあ魔理沙、そのテンションのついでにちょっとお茶淹れて来てもらえる?」
「ふむ。いつものテンションを維持している私は、だからこそいつものように断るんだぜ」
「ちぇ。いつもと何ら変わらないのね」
「そう言ってるんだがな」
 魔理沙は自宅以外だと博麗神社に居ることが圧倒的に多い。今日も雨が少し小降りになった隙を逃さず遊びに来ていた。
 そんな雑談をしている間にも雨は降り続き一向にやむ気配がない。それどころか、むしろ勢いを増しているようにも思える。
「まずいな。軽い気持ちで来たものの、これは帰れるかどうかわからなくなってきたぜ」
「泊まっていくの? 悪いけど夕食の材料は一人分しかないわよ」
「そうか。食べられなくて残念だなぁ、霊夢?」
「食べないのはあんたに決まってるでしょ」
「冗談だ」
 しかし、このまま雨が激しくなってくれば一泊せざるを得ない状態になるだろう。
「どうしようかね。濡れ鼠覚悟で帰るか、諦めて野宿するか」
「神社に泊まることを野宿と言うのはやめなさい」
「よし決めた。帰ることにするぜ。食糧庫の中身は刻一刻と悪くなっていくんでな。今日食えた物が明日は食えないかもしれん」
「そう。風邪ひかないようにね」
「おう、じゃあな!」
 叩き付ける雨をもろともせず、魔理沙は箒にまたがり飛んで行った。
「……さて、お茶お茶っと」
 重い体を引きずりながらお茶を淹れるために部屋へ入る。すると、外はさらに雨音が大きくなった。水桶をひっくり返したようだ。
「魔理沙ったら災難ね。前が見えなくて墜落したりしないといいけど」
 今頃魔理沙は舌打ちをしながら自宅へと急いでいるだろう。
 台所に行き、薬缶を火にかける。お湯が沸くまでの間退屈なので外を見ていたら、ザアザアと降っていた雨はドウドウという轟音に変わっている。
(この降り方はちょっと普通じゃないわね。川とか氾濫しないといいけど……)
 幻想郷には、妖怪の山から流れだし霧の湖に注ぐ川がある。その流域には人間の里も含まれているので、川が氾濫すると多大な被害が出るだろう。
 このまま雨が降り続いた場合のケースをいくつか想像していると、お湯が沸いた。
 薬缶のお湯を湯冷ましにあけ、急須にほうじ茶の茶葉を入れる。その状態で茶碗と一緒にお盆に乗せ、再び縁側まで運ぶ。
 先程と同じ位置に座り、急須にお湯を注ぐ。少し蒸らしたら茶碗に注いで、

「……いただきます」

 静かに茶碗の端を口につける。目を閉じ、お茶の香りを楽しみながらまず一口。
(ふぅ……)
 目は閉じたまま、口の中に広がるお茶の味を鑑賞する。目を開いてもう一口飲もうとした時、“その少女”は現れた。

「霊夢! 大変だぜ!」
「ブフゥ!」

 突然の訪問客に驚いた霊夢はお茶を吹き出しそうになり、それを何とかこらえた結果肺に入ってしまった。
「ゴホッ、ゴッホ!」
「やっぱりこの雨は普通じゃなかったんだ。魔法の森が泥沼だぜ!」
「ゲッホ、ゴホ!」
「おかげで私の家は床上浸水だ。アリスや香霖の家も駄目らしい」
「ゴホ、ゴホ」
「というわけでしばらくここに居候させてもらうぜ。アリスたちも遅れて来るだろう」
「ちょ、ちょっと勝手に話を進めないでよ。なに? あんたの家が浸水したの?」
「ああ。だから雨が一段落つくまで霊夢の家に住ませてもらうことにしたんだが、構わないな?」
「アリスや霖之助さんまで誘ってから許可を取りにくるなんて勝手すぎるわよ!」
 人形を扱う魔法使いアリス・マーガトレットや、森の入り口に店舗を構える森近霖之助も、魔理沙と同様の被害を受けたのだろう。
「それに、神社にはそんな何人も食べられるほどの食料は無いって言ったじゃない!」
「あーそれについては心配するな。水に浸からなかったなけなしの食材を持って来たぜ」
 そう言われて気付いたが、魔理沙は片手に麻袋を抱えている。中を見せてもらうと、野菜中心に決して多くはないが食材が入っていた。
「ふぅん……霖之助さんたちも食べる物ぐらい自分でなんとかするんでしょうね」
「だと思うが」
「そっか……まあそんなら仕様がないわね。困った時はってやつか」
「恩にきるぜ」
 やむなく承諾し、魔理沙に食材を台所まで運んでもらっている間、住処を失った残り二人がやってきた。
「魔理沙から話は通っているかしら」
「すまないね。流石にあの店で寝るのは厳しそうだった」
 アリスは人形に荷物を持たせており、霖之助は大きな旅行鞄に生活用品を詰め込んでいる。どちらも傘をさしているが、この豪雨の前ではあまり意味を成していなかった。
「二人とも待ってなさい、今タオルを持ってくるから」
 いくら初夏とは言え、水から上がった魚のようにずぶ濡れの二人を放っておくわけにもいかない。とりあえず二人を屋根の下に入れ、魔理沙に声を掛ける。
「魔理沙ー! その辺にタオルが二つあるでしょ、持ってきて―!」
 しばらくすると、彼女は手に厚手のタオルを抱えて戻ってきた。
「私の分も含めて三つだろ?」
「あっ、そういえば魔理沙は濡れたままあがってるじゃないの!」
「霊夢が入れって言ったんじゃないか」
「む。……じゃあその辺の濡れたところはあとで拭いておいてよね」
「りょーかいだ」
 魔理沙はアリスと霖之助にタオルを渡し、自身も頭を拭き始めた。そのわきで人形を丁寧に拭いているアリスが口を開く。
「しかし驚いたわよ。雨が強くなったと思ったらいくらもしないうちに水が流れ込んできたんだもの」
「ふぅん、湖から溢れ出たのかしら」
「そうかもしれないわ。ここにいない人形たちは棚にしまってあるから問題ないけど、膝の高さぐらいまで泥水が入ってきて大惨事だったんだから」
 よく見ると、アリスはいつものブーツではなく裸足に夏用サンダルの装備である。そこまで酷いなら足も泥まみれのはずだが、雨に流されたのだろうか、そこまで汚れてはいなかった。
「一段落したらお風呂も沸かさなくちゃいけないかしら。霖之助さんのところはどうだったの?」
「僕の店も似たようなかんじかな。でも、床にいろいろ置いてあったから被害総額はかなりの物だろうね」
 苦々しい顔で語る霖之助。彼の経営する道具屋『香霖堂』は、水に弱い製品(主に外の世界の機械)も多く扱っている。霊夢の記憶ではそれらが床に直接置いてあったのだから、おそらく全滅したのだろう。
 ここまで酷く雨が降ったことなど、霊夢の記憶にはない。もしかすると何かの異変ではないかと疑ってみるが、解決するにもこの大雨の中に飛び出す気力はない。
「なぁ霊夢、風呂もいいがお茶を淹れてくれないか? とびきり熱いやつを頼むぜ」
「結局私が淹れるの? ……、まったく仕様がないわね……」
 溜息をついて、三人分の茶碗を取りに行く。別にお客ではないのだから自分で淹れさせてもいいのだが、ずぶ濡れでやって来た人達にあまり冷たくあたるのも気が引ける。まだまだ自分は甘い人間なんだなぁと実感させられる霊夢だった。



第一章から結構怪しい空気が漂っています。

この話、というか私の書く話全体に言えますが、魔法の森は霧の湖に接していることにしています。

ある程度根拠に基づいた設定なのですがその辺のまた別の機会に語るとして、魔法の森が沈んだということは、他にも被害の出る場所がありますね。

そう。あの屋敷です。

というわけで次回の舞台は紅魔館。ご期待下さい。
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[ 2013/03/21 22:14 ] 東方小説 | TB(0) | CM(0)
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